医療費控除は、会社員でも、個人事業主でも、誰でも使える節税方法です。
医療費控除の仕組み
1年間で10万円以上の医療費を支払ったら、医療費控除が使えます。
- 1月から12月に支払った、1年間の医療費を集計する。
- 家族の医療費を合算できる。
- 保険などで医療費が補填されたら差し引く。
- 10万円か、所得金額の5%、少ない金額を差し引く。
これが医療費控除の金額を計算する方法です。
家族の医療費を合算できます。
自分だけじゃなく、家族全員分を合算できる。
医療費控除では、本人の医療費だけではなく、家族全員の医療費を合算できます。
例えば、夫婦と子供2人の4人家族では、家族4人分の医療費を合算して、夫が医療費控除を受けることができます。
納税者本人だけ、1年間に10万円の医療費を使うことって、滅多にありません。
しかし、家族全員の医療費を集めれば、結構医療費って使っているものなんですよ。
医療費合算の条件、扶養は関係ない。
扶養していない家族の医療費もOK。
共働き夫婦などの、お互いに扶養していない家族でも、医療費控除を合算できます。
所得税の「配偶者控除」などと違って、医療費控除の合算では、扶養の有無は、関係ありません。
医療費合算の条件、生計を一にする親族
医療費を合算するには条件があります。
- 生計を一にしていること。
- 配偶者、親子など民法での親族。
生計を一にするとは、一般的には、同居する家族が対象です。
単身赴任していても、離れて暮らす家族は、生計を一にする親族です。
また、一人暮らしの大学生の子供に仕送りしている場合も、生計を一にする家族になります。
民放での親族とは、いわゆる戸籍上の親族のことです。
医療費控除の法律である所得税法は、親族の判断基準を、民法の基準で判断しています。
同居していても、籍を入れていない内縁の妻の場合は、医療費控除は認められません。
医療費控除の対象になる医療費とは?
医療の費用が医療費ですが、医療費控除の対象には、条件が決められています。
1、医師、歯科医師による、診療、治療の対価
国家資格を持つ、医師と歯科医師による、診療と治療の対価が、医療費控除の対象です。
ただし、健康診断や人間ドックの費用は、原則として含まれません。
また、医師に対する謝礼金も、正規の対価ではないので、医療費控除の対象外です。
2、治療、療養に必要な医薬品の購入の対価
薬の購入の費用は、医療費控除の対象です。
ここでの薬とは、薬事法での医薬品です。
医薬品の購入費用であっても、健康増進や病気の予防目的の場合は、医療費控除の対象外です。
3、病院などへ収容されるための人的役務の提供の対価
電車代も対象です。
通院のための交通費も医療費控除の対象です。
タクシーは特別な理由がある場合だけ認められます。
ただし、人的役務の提供なので、自分の自動車で通院した場合は、医療費控除の対象外です。
4、あん摩マッサージ指圧師などによる施術の対価
治療目的なら、マッサージ費用もOK。
国家資格を持つ、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師から、痛みなどの治療目的でマッサージなどを受けた時は、医療費控除の対象です。
ただし、健康増進や、疲労回復の目的では、医療費控除の対象外です。
5、療養上の世話を依頼した対価
家族・親族じゃなければ、療養上の世話の費用も対象です。
保健師、看護師、准看護師などの、医療関係の有資格者に、療養上の世話を依頼した場合。
また、家政婦などの、医療関係の資格を持たない人に、療養上の世話を依頼した場合。
この両方ともに、医療費控除の対象です。
ただし、家族や親族に報酬を支払って、療養上の世話を依頼しても、医療費控除の対象外です。
6、助産師による分娩の介助の対価
自宅での出産で、助産師に分娩の介助を依頼した場合の費用は、医療費控除の対象です。
7、介護保険制度の一定の自己負担金
介護は、医療に関連する分野です。医療に関連する介護サービスの一部は、医療費控除の対象になります。
8、診療や治療を受けるために必要な費用
入院した時の部屋代や食事代などの費用、医療機器の購入費用などが、医療費控除の対象になります。
その他にも、医療費控除の対象になる費用があります。Q&Aを参考にしてください。
医療費控除を計算する手順
その年に、「支払った」医療費が対象です。
支払った時点の日付が、期間の判断基準です。
医療費控除の金額は、その年の1月1日から、12月31日までの間に、「支払った」医療費が対象です。
支払い時点、領収書の日付が、判断基準となります。
例えば、年末に入院して、費用の支払いが翌年になった場合は、その費用の医療費控除は、翌年になります。
1年間の医療費の領収書を集計します。
家族全員の領収書を集計します。
医療費控除を受けるためには、1年間に支払った医療費の領収書を集計します。
家族分の医療費も全て合算します。
領収書を紛失した場合は、原則として、その費用は、医療費控除できません。
電車やバスでの通院費用は、領収書がなくても構いません。
保険金など、医療費の補填を受けた金額を集計します。
保険や補償を受けたら、医療費から差し引きます。
生命保険などの入院給付金、高額療養費制度、出産育児一時金などが、医療費を補填する目的となります。
また、交通事故などでは、加害者から医療費に相当する賠償金を受け取ることがあります。
その賠償金も、医療費を補填する金額になります。
この医療費を補填する金額を、1年間の医療費の合計から、差し引いて、医療費控除は計算します。
10万円か、所得金額の5%、を差し引く。
医療費の合計から、10万円を差し引きます。
医療費から、補填する金額を差し引いたら、次は、10万円を差し引きます。
つまり、医療費の自己負担が、10万円までは、医療費控除は受けられません。
ただし、所得金額の5%が、10万円未満の場合は、所得金額の5%を差し引きます。
サラリーマンなどの給与所得者の場合は、年収が約300万円以下の場合は、所得金額の5%が、10万円未満になります。
つまり、年収300万円以下の人は、医療費が10万円未満でも、医療費控除が受けられるってことです。
医療費控除は、所得税と住民税が少なくなる。
医療費控除が活用できるのは、所得税と住民税です。
所得税は、税率が5%から45%と、所得が多い人ほど税率が上がる制度です。住民税の税率は一律で10%です。
つまり、医療費控除の金額の、15%から55%が、節税できることになります。
税務署の確定申告で、医療費控除の手続きをしたら、住民税は手続き不要です。
医療費控除の手続き方法、確定申告の手続き方法。
医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。
会社員などのサラリーマンであっても、医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。
確定申告書に、必要な添付書類は、「医療費控除の明細書」です。
病院や薬局などからもらった1年分の領収書を集計して、「医療費控除の明細書」を作成します。
医療費の支出を証明する「領収書」などは、確定申告書に添付は不要ですが、確定申告から5年間は自宅で保存が必要です。
以前は、領収書を確定申告で、提出又は提示していましたが、法令改正によって、自宅保存に変更されました。
会社員の場合は、会社が発行する「源泉徴収票」も、確定申告では添付します。
「医療費控除の明細書」の作成方法
国税庁HPで、確定申告書と、医療費控除の明細書が作成できます。
医療費控除の明細書は、国税庁HPの確定申告書作成コーナーで、作成することができます。
入力する内容は、次の項目です。
- 医療を受けた人
- 続柄
- 病院・薬局などの所在地・名称
- 控除の対象となる医療費の内訳、治療内容・医療品名など
- 控除の対象となる医療費の内訳、支払った医療費・交通費
- 生命保険や社会保険などで補填される金額
領収書を見ながら、これらの項目を入力していけば、自動的に「医療費控除の明細書」を作成してくれます。
完成した「医療費控除の明細書」は、PDFファイルとして、ダウンロードすることができるので、印刷して確定申告書に添付しましょう。
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Q&A、これは医療費控除の対象ですか?、具体例で丁寧に。
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まとめ、医療費控除の仕組み、確定申告の手続き方法、医療費明細書の作成方法
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