家系図イラストの具体例で、再婚・離婚・養子など、遺族年金の受給権を徹底解説します。
遺族年金をもらう子供がいない妻、再婚したら失権
子供がいない妻の再婚で、遺族年金はどうなるのか。まずは、シンプルなケースです。
子供がいない妻は、遺族厚生年金だけ。
- 妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 妻に遺族厚生年金が支給
夫が死亡した時に、18歳未満の子供がいない場合は、残された妻は、遺族厚生年金だけがもらえます。
子供がいない妻には、遺族基礎年金の受給権はなく、支給されません。
ただし、遺族厚生年金がもらえるのは、死亡した夫が、原則、会社員などの厚生年金加入者だった場合だけです。
つまり、子供がいない妻の場合は、死亡した夫が、自営業などで国民年金加入者の場合は、原則、遺族年金は一切支給されません。
死亡した夫が、自営業などの国民年金なら、原則、遺族年金はありません。
具体例1、妻が再婚した場合、子供なし。
再婚すると、遺族年金が失権します。
- 夫の死後に妻が再婚。
- 妻の遺族厚生年金は失権
- (遺族基礎年金は、もともと受給権なし)
亡くなった元夫の妻としての遺族厚生年金は、再婚によって失権します。
再婚相手と新しい生活を始める時には、遺族厚生年金はなくなります。
遺族厚生年金をもらう妻が、再婚によって失権する根拠は、厚生年金保険法の第63条第1項第2号の規定です。
仮に、再婚相手と離婚したとしても、一旦、失権で消滅した受給権は復活しません。
また、再婚相手の夫までもが死亡した場合は、その再婚相手の妻としての遺族年金の受給権はもちろん発生します。
具体例2、内縁・事実婚の場合
内縁や事実婚でも、遺族年金は失権です。
- 夫の死後に妻が内縁・事実婚。
- 妻の遺族厚生年金は失権
- (遺族基礎年金は、もともと受給権なし)
遺族年金の制度では、戸籍上の婚姻関係ではなく、内縁や事実婚でも、婚姻関係と同様にみなされます。
この具体例のケースのように、生計が同一の状態なら、事実上の再婚とみなされ、妻の遺族年金は失権します。
内縁・事実婚を、事実上の配偶者とみなす根拠
国民年金法の第5条では、配偶者を「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」と規定しています。厚生年金保険法の第3条にも同じ規定があります。
つまり、夫の死後に、戸籍上の再婚ではなく、事実婚でも再婚と同様の事情であれば、遺族年金が失権することになります。
その反面、事実婚の夫が死亡した場合、戸籍上の婚姻関係でなかった妻でも遺族年金が受け取れるメリットもあります。
遺族年金をもらう子供がいる妻、再婚したら失権
子供がいる妻が再婚した時の、遺族年金受給権の解説です。
子供がいる妻は、遺族基礎年金と遺族厚生年金
- 妻に遺族基礎年金が支給
- 妻に遺族厚生年金が支給
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供の遺族厚生年金は支給停止
夫が死亡した場合には、残された妻は、遺族基礎年金と遺族厚生年金がもらえます。
ただし、死亡した夫が、自営業などで国民年金加入者だった場合は、遺族厚生年金がなく、遺族基礎年金だけの支給です。
子供にも、遺族年金の受給権はありますが、配偶者である妻に対して優先的に支給されます。
この時、子供の遺族基礎年金と遺族厚生年金は、「支給停止」の状態になっています。
子供の遺族基礎年金が支給停止となる根拠は、国民年金法の第41条第2項の「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき」という条件に該当することです。
また、厚生年金保険法の第66条の「配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する」という条件に該当するので、子供の遺族厚生年金は、支給停止になります。
具体例3、妻が子持ちで再婚した場合
妻が子連れで再婚したケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。夫の死後に妻が再婚。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は失権
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
再婚前の妻は、亡くなった元夫の配偶者として、遺族基礎年金と遺族厚生年金を、もらっています。
しかし、再婚によって、亡くなった元夫の妻としての遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、再婚によって失権します。
仮に、この再婚相手と離婚したとしても、失権で消滅した受給権は、もちろん復活しません。
再婚によって妻の遺族年金が失権する根拠は、国民年金法の第40条第1項第2号と、厚生年金保険法の第63条第1項第2号の規定です。
子供には、遺族厚生年金の支給が始まる。
子供に対しての遺族年金は、母の再婚前は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、支給停止の状態でした。
再婚によって、優先的な受給者である母親が失権したので、子供に対しての支給停止は、基本的に解除されます。
ただ、国民年金法の第41条第2項の「生計を同じくするその子の母があるとき」という条件に該当するので、子供の遺族基礎年金は、そのまま支給停止となります。
支給停止される理由が、再婚前の「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき」から、再婚後は「生計を同じくするその子の母があるとき」に変わり、支給停止の状態は、そのままってことです。
具体例4、再婚相手と子供が養子縁組した場合
妻が再婚して、その時に子供と再婚相手と養子縁組するケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。夫の死後に妻が再婚。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は失権
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
妻の遺族年金は、再婚によって失権します。
子供の遺族年金は、優先的な受給者である、子の母が再婚によって失権するので、支給停止は基本的に解除です。
遺族厚生年金は、支給停止が解除された、子供に対して支給されます。
子供の遺族基礎年金は、国民年金法の第41条第2項の「生計を同じくするその子の母があるとき」という条件に該当するので、支給停止のままです。
また、子供の遺族年金は、養子縁組によって基本的に失権しますが、例外として、直系血族または直系姻族の養子になった場合は、失権しません。
この具体例では、子供の養子縁組の相手は、母の再婚相手、つまり直系姻族との養子縁組です。
そのため、子供の遺族年金は失権しないのです。
これは、国民年金法の第40条第1項第3号と、厚生年金保険法の第63条第1項第3号の規定です。
妻が子連れで再婚するケースでは、子供が養子縁組しても、しなくても、子供に遺族厚生年金だけ支給される、っていう状況は同じです。
具体例5、子供を預けて妻が再婚した場合
祖父母に子供を養育してもらい、妻が再婚したケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に祖父母に子供を預けて、妻が再婚。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は失権
- 子供に遺族基礎年金が支給開始
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
妻の遺族年金は、再婚によって失権です。
子供の遺族年金は、優先的な受給者である、子の母が再婚によって失権するので、支給停止は基本的に解除です。
この具体例では、子供は祖父母に引き取られて、母と別れて生活しています。
遺族基礎年金の支給停止の理由である「生計を同じくするその子の母があるとき」には、該当しません。
そのため、子供に対しては、遺族基礎年金と遺族厚生年金の、両方が支給されます。
ただし、妻が遺族基礎年金を受け取る金額に比べて、子供が受け取る遺族基礎年金は減額されます。
妻への遺族基礎年金の金額は「基準額+子の加算」ですが、この具体例では、子供が受け取る金額は「基準額」だけになります。
遺族基礎年金の支給額は、妻への金額より、子供は減額されます。
具体例6、妻が再婚、子供は祖父母と養子縁組した場合<
妻が再婚して、子供が祖父母の養子縁組になったケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に、子供は祖父母の養子、妻が再婚。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は失権
- 子供に遺族基礎年金が支給開始
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
まず、妻の遺族年金は再婚によって失権して、母の失権によって子供の支給停止は基本的に解除されます。
子供の遺族年金は、養子縁組によって基本的に失権しますが、例外として、直系血族または直系姻族の養子になった場合は、失権しません。
子供にとって、直系血族である祖父母との養子縁組では、子供の遺族年金は失権しないのです。
そのため、子供に対しては、遺族基礎年金と遺族厚生年金の、両方が支給されます。
ただし、妻が遺族基礎年金を受け取る金額に比べて、子供が受け取る遺族基礎年金は減額されます。
妻が再婚した時に、祖父母が子供を引き取るケースでは、祖父母と養子縁組をしても、しなくても、遺族年金の状況は同じです。
妻と子供が別生活、子供が養子縁組したら失権
具体例7、子供を祖父母に預けた場合
子供を祖父母に預けて、妻が働くケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に、祖父母が子供を引き取り、妻は別生活。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は支給停止
- 子供に遺族基礎年金が支給開始
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
妻の遺族基礎年金は、「子供と生計を同じくしなくなったとき」に失権します。国民年金法の第40条第2項の規定です。
子供の遺族遺族年金は、妻が失権したことで、支給停止が解除され、支給が始まります。
ただし、妻が遺族基礎年金を受け取る金額に比べて、子供が受け取る遺族基礎年金は減額されます。
妻の遺族厚生年金は、支給停止になります。
厚生年金保険法の第66条第2項で、「妻に遺族基礎年金の受給権がなく、子供に遺族基礎年金の受給権がある」ときは、妻の遺族厚生年金は支給停止と規定されています。
妻の遺族厚生年金が支給停止になると、逆に、子供の支給停止は解除され、子供に対して遺族厚生年金の支給が始まります。
厚生年金保険法の第66条第1項の規定です。
もし、この具体例のように、妻子の生計が別になり、妻の遺族基礎年金が失権した時点で、その妻が30歳未満なら、厚生年金保険法の第63条第1項第5号ロの規定により、その後の妻の遺族厚生年金の受給権は5年後に失権します。
また、亡くなった夫の両親である祖父母でも、妻自身の両親である祖父母でも、どちらでも結果は同じです。
妻の遺族厚生年金の受給権は、この5年後に失権します。
具体例8、子供と祖父母が養子縁組した場合
祖父母との養子縁組は、例外で失権しません。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に、子供は祖父母の養子、妻は別生活。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は支給停止
- 子供に遺族基礎年金が支給開始
- 子供に遺族厚生年金が支給開始
妻の遺族基礎年金は、「子供が妻以外の者の養子となったとき」に失権します。
たとえ、直系血族との養子縁組であっても、「妻」の遺族基礎年金の受給権は失権します。
直系血族の養子縁組の例外として失権しないのは、「子供本人」の遺族基礎年金の受給権です。
また、妻の遺族基礎年金は現時点で失権して、遺族厚生年金は支給停止になります。
この時点で、妻が30歳未満なら、5年後に遺族厚生年金の受給権は失権します。
子供が養子縁組をすると、遺族年金は失権するのが原則ですが、例外として、相手が直系血族または直系姻族の場合は、失権しません。
この具体例では、養子縁組の相手が、直系血族である祖父母なので、「子供本人」の遺族年金は失権しません。
そのため、子供の遺族基礎年金と遺族厚生年金は、妻が失権したことにより、支給停止が解除され、支給が始まります。
ただし、妻が遺族基礎年金を受け取る金額に比べて、子供が受け取る遺族基礎年金は減額されます。
妻が再婚せずに、祖父母が子供を養育する場合では、祖父母と子供が養子縁組しても、しなくても、子供に遺族年金が支給される、っていう状況は同じです。
また、亡くなった夫の両親である祖父母でも、妻自身の両親である祖父母でも、どちらでも結果は同じです。
子供の養子縁組では「直系血族・直系姻族」が相手の場合、「子供本人」の受給権は失権しませんが、「妻」の受給権は失権するという、違いがあります。
具体例9、子供が他人と養子縁組した場合
子供が、親族ではない第三者と養子縁組したケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に、子供を養子に出し、妻は別生活。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は支給のまま
- 子供の遺族基礎年金は失権
- 子供の遺族厚生年金は失権
妻の遺族基礎年金は、子供が「妻以外の者の養子となったとき」に失権します。
国民年金法の第40条第2項の規定です。
子供の遺族基礎年金は、養子縁組によって失権します。
妻の遺族厚生年金は、このケースでは、引き続き、受給が可能です。
ただし、子供が養子縁組した時点で、妻が30歳未満なら、厚生年金保険法の第63条第1項第5号ロの規定により、その後の妻の遺族厚生年金の受給権は5年後に失権します。
具体例10、子供が親族と養子縁組した場合
子供が「おじ・おば」などの親族と養子縁組したケースです。
- 夫婦と子供の3人家族で夫が死亡。
- 夫の死後に、子供は妹夫婦の養子、妻は別生活。
- 妻の遺族基礎年金は失権
- 妻の遺族厚生年金は支給のまま
- 子供の遺族基礎年金は失権
- 子供の遺族厚生年金は失権
この具体例は、妻の妹夫婦と、子供が養子縁組したケースです。
子供にとっては、叔母叔父であり、親族との養子縁組です。
しかし、親族であっても、叔父叔母は「直系」ではなく、「傍系」になります。
そのため、養子縁組によって、子供の遺族年金は、失権します。
たとえ、妻の妹が、子供を引き取っても、子供の遺族年金は、赤の他人と養子縁組する時と同じで、失権してしまうのです。
妻の遺族基礎年金は、子供が「妻以外の者の養子となったとき」には、国民年金法の第40条第2項の規定により失権します。
妻の遺族厚生年金だけは、引き続き、妻に対して支給が続きます。
ただし、子供が養子縁組した時点で、妻が30歳未満なら、厚生年金保険法の第63条第1項第5号ロの規定により、その後の妻の遺族厚生年金の受給権は5年後に失権します。
離婚した元夫が死亡、元妻と遺族年金
具体例11、離婚した後に元夫が死亡、子供のいない元妻の場合
別れた元旦那が死亡しても、子供のいない元妻は遺族年金はもらえません。
- 子供のいない夫婦が離婚。その後に元夫が死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
離婚によって、夫婦の婚姻関係は終了しています。
元妻は配偶者ではないので、遺族年金の受給資格は一切ありません。
遺族基礎年金の遺族の範囲は国民年金法の第37条の2、遺族厚生年金は、厚生年金保険法の第59条で決められています。
遺族年金の制度では、内縁や事実婚であれば、婚姻関係がなくても配偶者とみなしますが、離婚して生活が別であれば、配偶者ではありません。
具体例12、離婚した後に元夫が死亡、妻が子供を養育している場合
別れた元旦那から養育費をもらいながら、妻が子供を育てているケースです。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払う。
- その後に元夫が死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供は遺族厚生年金をもらえる
離婚した夫婦の婚姻関係は終了しており、配偶者ではない元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
子供は、元夫の生前には養育費をもらっていたので、生計を維持されている状況です。
つまり、子供には、元夫の死亡による遺族年金の受給権があります。
子供には遺族基礎年金の受給権はありますが、「生計を同じくするその子の母」がいるので、子供の遺族基礎年金は支給停止となります。
これは、国民年金法の第41条第2項の規定です。
そのため、子供には遺族厚生年金だけが支給されることになります。
元旦那からの養育費は、遺族年金にも影響します。現金手渡しでは、遺族年金の手続きの時に、養育費を受け取った証明が難しい場合があります。なるべく養育費は銀行振込で受け取り、もし現金で受け取ったら必ず領収書を発行して証拠を残しましょう。
子供が18歳で、遺族年金は失権
子供の遺族年金は18歳で失権します。
- 子供が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了。
- 子供の遺族基礎年金は失権
- 子供は遺族厚生年金は失権
このケースでは、遺族基礎年金の受給権は、支給停止の状態から、失権となります。
また、遺族厚生年金は、支給されている状態から、失権となります。
子供が18歳になった後の3月31日が終了すると、その子の遺族年金の受給権は失権します。
18歳になった後の3月31日とは、一般的に高校を卒業する時点であり、その時に、遺族基礎年金と遺族厚生年金の、両方の受給権が失権することになります。
その根拠は、遺族基礎年金は国民年金法の第40条第3項、遺族厚生年金は厚生年金保険法の第63条第2項で規定されています。
具体例13、離婚した後に元夫が死亡、妻が子供を養育している場合
別れた元旦那が養育費を払っていないケースです。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払っていない。
- その後に元夫が死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供は遺族基礎年金の受給権なし
- 子供は遺族厚生年金の受給権なし
離婚しているので、元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
遺族年金の対象は、死亡した元夫によって「生計を維持」されていたことが条件です。
遺族の範囲は、国民年金法の第37条の2と、厚生年金保険法の第59条で決められています。
元旦那が子供に対して養育費を支払っていないので、子供は元夫から生計を維持されていない状況です。
そのため、子供は遺族年金の対象となる遺族ではなく、遺族年金の受給権は一切ありません。
子供に対してきちんと養育費を支払う元夫なら遺族年金がもらえるのに、養育費すら支払わないような元夫からは、遺族年金を受け取れないって、なんだか納得できません。
しかし、法律で決められたルールだから、しょうがないんです。結婚する前に、しっかりと相手の人間性を判断するしかないですよね。
元旦那から受け取る養育費は、遺族年金にも影響があります。
離婚する時には「養育費なんていならい!」って感情的にならずに、しっかりと子供のために行動しましょう。
具体例14、離婚した後に元夫が死亡、祖父母が子供を養育している場合
祖父母に子供を預けて、別れた元旦那が養育費を支払っているケースです。
- 離婚して親権は妻、祖父母に預けて子供を養育。
- 養育費を支払っている元夫が死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供は遺族基礎年金をもらえる
- 子供は遺族厚生年金をもらえる
離婚しているので、元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
子供は、元夫の生前には養育費をもらって生計を維持されていたので、子供には遺族年金の受給権があります。
子供は祖父母と生活して、母親とは別生活であり、「生計を同じくするその子の母」もいないので、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、支給停止の理由はありません。
そのため、子供には両方の遺族年金が支給されます。
このケースでは、元妻側の祖父母が、子供を引き取っていますが、元夫側の祖父母が子供を引き取っていても、このケースと同じように、子供には遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。
具体例15、離婚した後に元夫が死亡、父子家庭で元夫が子供を養育していた場合
別れた元旦那が子供を引き取り、死亡したケースです。
- 離婚して親権は夫で子供を養育、その後に元夫が死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供は遺族基礎年金をもらえる
- 子供は遺族厚生年金をもらえる
このケースでも、離婚している元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
元夫が子供を育てているので、子供に受給権があります。
夫の死後に、残された子供がこのまま1人で生活していけば、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、子供に支給されます。
もちろん、子供が18歳になった後の3月31日が終了すると、遺族年金の受給権は失権します。
ただ、元夫の死亡によって、子供が1人なので、誰かに引き取られた時には、遺族年金の受給権や支給状況が変わります。
具体例16、父子家庭で、元夫が死亡した後に、別れた妻が子供を引き取った場合
元夫の死後に、母親が子供を引き取った場合です。
- 元夫の死後に、元妻が子供を引き取る。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供の遺族厚生年金は支給のまま
元夫の死後に、元妻が子供を引き取ったのケースでも、離婚している元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
このケースでは、子供に遺族厚生年金だけが支給されることになります。
子供にとっては、母親から引き取られることになり、「生計を同じくするその子の母」となるので、遺族基礎年金は支給停止となります。
遺族基礎年金は、ただ支給が停止されているだけで、子供は受給権は持ったままなので、子供が母親との生活がうまくいかずに、別生活に戻れば、遺族基礎年金の支給が再開されます。
これは、国民年金法の第41条第2項の規定です。
具体例17、父子家庭で、元夫が死亡した後に、元夫側の祖父母が子供を引き取った場合
元旦那の両親が、子供を引き取った場合です。
- 元夫の死後に、元夫側の祖父母が子供を引き取る。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給のまま
- 子供の遺族厚生年金は支給のまま
元夫側の祖父母が、子供を引き取るケースです。
子供にとっては、父子家庭から、父親方の祖父母と、新たに生計が同一になります。
このケースでは、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、子供の遺族年金は、そのまま支給が継続されます。
もちろん、離婚している元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
具体例18、父子家庭で、元夫が死亡した後に、元妻側の祖父母が子供を引き取った場合
元妻の両親が、子供を引き取った場合です。
- 元夫の死後に、元妻側の祖父母が子供を引き取る。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給のまま
- 子供の遺族厚生年金は支給のまま
元妻側の祖父母が、子供を引き取るケースです。
子供にとっては、父子家庭から、母親方の祖父母と、新たに生計が同一になります。
元夫側でも、元妻側でも、どちらの祖父母でも、子供の遺族年金の受給権は同じです。
このケースでも、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、子供の遺族年金は、そのまま支給が継続されます。
もちろん、離婚している元妻には遺族年金の受給資格は一切ありません。
離婚した元夫が死亡、元夫が再婚していた場合
具体例19、離婚した後に元夫が死亡、元夫は再婚、子供のいない元妻の場合
別れた元旦那が再婚して死亡、遺族年金の権利は後妻です。
- 子供のいない夫婦が離婚。元夫は再婚して、その後に死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻は遺族厚生年金をもらえる
離婚した元妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
再婚した後妻が遺族年金の対象となる配偶者です。
遺族基礎年金の遺族の範囲は国民年金法の第37条の2、遺族厚生年金は、厚生年金保険法の第59条で決められています。
遺族年金の受給権には、婚姻期間の長さは関係ありません。
例え、元妻との結婚年数が10年以上で、後妻は結婚して1ヶ月の新妻であっても、遺族年金の対象は、後妻だけです。
このケースでは、後妻には子供がいないので、遺族基礎年金の受給権はないので、遺族厚生年金だけが支給されます。
ただし、夫の死亡時点で、この後妻が30歳未満の場合は、遺族厚生年金は夫の死亡時点から5年が経過すると失権します。
これは、厚生年金保険法の第63条第1項第5号イの規定です。
仮に、再婚が正式な手続きをしていない、内縁・事実婚であっても、婚姻関係と同様の事情であれば、事実上の新妻が遺族年金の対象となる配偶者とみなされます。これは国民年金法の第5条と、厚生年金保険法の第3条で、決められています。
具体例20、離婚した後に元夫が死亡、元夫は再婚、元妻が子供を引き取っている場合
元妻が子供を養育してるなら、遺族年金は子供です。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払う。
- 元夫が再婚した後に死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供は遺族厚生年金をもらえる
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の遺族厚生年金は支給停止
離婚した元妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
元妻が引き取った子供は、元夫の生前に養育費をもらっていたので、生計を維持されている状況です。
つまり、子供には、元夫の死亡による遺族年金の受給権があります。
元妻が引き取った子供には、遺族基礎年金の受給権はありますが、その子の母である元妻と一緒に生活している状況です。
子供には「生計を同じくするその子の母」がいる状況なので、その子の遺族基礎年金は支給停止となります。
これは、国民年金法の第41条第2項の規定です。
そのため、子供には遺族厚生年金だけが支給されることになります。
このケースで、元妻が引き取った子供に遺族年金の受給権が発生するのは、元夫が子供に対して養育費を支払ってることが条件です。
もし、元夫からの養育費の支払いがなければ「生計を維持」ではないので、子供は遺族年金の対象となる遺族ではなく、その子には遺族年金の受給権は一切なくなります。
遺族の範囲は、国民年金法の第37条の2と、厚生年金保険法の第59条で決められています。
このケースでは、後妻より、子供が優先されます。
後妻の立場で考えると、このケースでは、バツイチ男性と結婚して、前妻が引き取った子供がいる状態です。
生計を同じくする子供がいない配偶者には、遺族基礎年金の受給権がありません。
このケースでは、子供がいない後妻には遺族基礎年金の受給権はありません。
遺族厚生年金は、子供がいない配偶者にも、受給権があります。
しかし、後妻には遺族基礎年金の受給権がないため、遺族基礎年金の受給権を持っている元妻が引き取った子供に、優先的に遺族厚生年金が支給されます。
そのため、後妻の遺族厚生年金は支給停止になります。これは、厚生年金保険法の第66条第2項の規定です。
子供が18歳で遺族年金は失権、後妻に遺族厚生年金
子供が18歳で遺族年金は失権して、後妻に支給が始まります。
- 子供が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了。
- 子供の遺族基礎年金は失権
- 子供の遺族厚生年金は失権
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の遺族厚生年金の支給が始まる
元妻が引き取った子供が18歳になって遺族年金が失権すると、後妻の支給停止は解除され、後妻への遺族厚生年金の支給が始まります。
ただし、夫の死亡時点で、この後妻が30歳未満の場合は、遺族厚生年金の受給権は、夫の死亡時点から5年が経過すると失権します。
子供が18歳になった時点で、後妻の遺族厚生年金がすでに失権していた場合は、もちろん、遺族厚生年金はもらえません。
これは、厚生年金保険法の第63条第1項第5号イの規定です。
具体例21、離婚した後に元夫が死亡、元夫は再婚、元妻側の祖父母が子供を引き取っている場合
元夫が養育費を支払っていれば、子供に遺族年金が支給されます。
- 離婚して親権は妻、元妻側の祖父母が子供を引き取る。
- 元夫は養育費を支払い、再婚した後に死亡。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供は遺族基礎年金をもらえる
- 子供は遺族厚生年金をもらえる
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の遺族厚生年金は支給停止
離婚した元妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
元妻の両親である、子供にとっての祖父母が、その子を養育しています。
元夫は子供に養育費を支払っているので、子供の生計を維持している状況です。
そのため、元夫の死亡により、子供に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。
後妻には、死亡した夫との子供がいないため、遺族基礎年金の受給権がありません。
遺族厚生年金の受給権は、後妻にもありますが、支給停止となります。
後妻には遺族基礎年金の受給権がないため、遺族基礎年金の受給権を持つ元妻との間に生まれた子供に、遺族厚生年金は優先的に支給されるからです。
これは、厚生年金保険法の第66条第2項の規定です。
子供が18歳で遺族年金は失権、後妻に遺族厚生年金
子供が18歳で遺族年金は失権して、後妻に支給が始まります。
- 子供が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了。
- 子供の遺族基礎年金は失権
- 子供の遺族厚生年金は失権
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の遺族厚生年金の支給が始まる
その後、子供が成長して、18歳になると子供の遺族年金は失権します。
子供の失権により、後妻の遺族厚生年金の支給停止は解除されて、今度は、後妻に対して遺族厚生年金の支給が開始されます。
ただし、夫の死亡時に後妻が30歳未満の場合は、後妻への遺族厚生年金は5年間で失権します。
これは、厚生年金保険法の第63条第1項第5号イの規定です。
子供が18歳になった時点で、後妻の遺族厚生年金がすでに失権していた場合は、もちろん、遺族厚生年金はもらえません。
夫の死亡時に後妻が30歳以上であれば、後妻が再婚などで失権しない限り、遺族厚生年金は一生涯もらい続けることができます。
具体例22、離婚した後に元夫が死亡、元夫は再婚、元夫が子供を引き取っている場合
このケースでは、後妻と子供に戸籍上の親子関係はありません。
- 離婚して親権は夫で子供を養育。
- 元夫は再婚した後に死亡。
- 後妻と子供の養子縁組はなし。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供の遺族厚生年金は支給停止
- 後妻は遺族基礎年金をもらえる
- 後妻の遺族厚生年金をもらえる
離婚した元妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
元夫の生前は、後妻、子供の3人が生計同一で生活していました。
元夫が死亡した時点で、子供は、死亡した元夫に生計を維持される子です。
また、後妻も、死亡した元夫に生計を維持される配偶者です。
この時の遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、後妻に対し支給されます。
このケースでは、元夫の子供と後妻は、養子縁組をしていないため、戸籍上の親子関係はありません。
しかし、死亡した元夫と子供に親子関係さえあれば、死亡した「被保険者の子供と生計を同じくする配偶者」という遺族基礎年金の条件を後妻は満たしており、後妻と子供に親子関係がなくても構わないのです。
これは、国民年金法の第37条の2第1項の規定です。
子供の遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、受給権はありますが支給停止になります。
子供の遺族基礎年金は、「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有する」ので支給停止です。これは国民年金法の第41条第2項の規定です。
ちなみに、子供にとっての後妻は、養子縁組をしていないので「父の配偶者」であり「母」ではないので、「生計を同じくするその子の母」には該当しません。
子供の遺族厚生年金は、厚生年金法の第66条第1項の「配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する」条件に該当するので、支給停止になります。
具体例23、元夫が死亡した後に、別れた前妻が子供を引き取った場合
前妻が子供を引き取ったケースです。
- 離婚して親権は夫で子供を養育。
- 元夫は再婚した後に死亡。
- 後妻と子供の養子縁組はなし。
- 元夫の死後に、別れた前妻が子供を引き取る。
- 元妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 元妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 子供の遺族基礎年金は支給停止
- 子供の遺族厚生年金は支給が始まる
- 後妻の遺族基礎年金は失権
- 後妻の遺族厚生年金は支給停止
離婚した元妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
後妻と子供には戸籍上の親子関係はありませんが、夫の死亡時点では、後妻と夫の子供は生計が同じであるので、後妻には遺族基礎年金の受給権があります。
しかし、夫の死後に、子供の実母である前妻が子供を引き取って、配偶者である後妻が子供と「生計を同じくしなくなったとき」に後妻の遺族基礎年金は失権します。
これは、国民年金法の第40条第2項の規定です。
また、後妻の遺族基礎年金の受給権が失権したことにより、遺族厚生年金は、子供への支給が優先されることになり、後妻の遺族厚生年金は支給停止になります。
これは、厚生年金保険法の第66条第2項の規定です。
子供が実母である前妻に引き取れらたことで、「生計を同じくするその子の母」がいる状況になるので、子供の遺族基礎年金は支給停止となります。
これは国民年金法の第41条第2項の規定です。
前妻に引き取られる前に、子供が後妻と同居していた段階では、配偶者である後妻が「遺族基礎年金の受給権を有する」ので、子供の遺族基礎年金は支給停止です。その後に、実母である母親に引き取られると、遺族基礎年金の状況は支給停止のままですが、その理由が変わってきます。
配偶者である後妻の遺族基礎年金が失権したことにより、子供の遺族厚生年金は、支給停止が解除されて、支給が始まります。
これは、厚生年金保険法の第66条第1項の規定です。
具体例24、前妻にも後妻にも子供がいる場合
前妻の子、後妻の子、どちらにも子供がいるケースです。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払う。
- 元夫が再婚して後妻との間に子供が誕生。
- 元夫が死亡。
- 前妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 前妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 前妻の子供の遺族基礎年金は支給停止
- 前妻の子供の遺族厚生年金は支給停止
- 後妻は遺族基礎年金をもらえる
- 後妻は遺族厚生年金をもらえる
- 後妻の子供の遺族基礎年金は支給停止
- 後妻の子供の遺族厚生年金は支給停止
離婚した前妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
後妻が、現在の配偶者として、遺族年金の対象となります。
後妻と死亡した夫の間には、子供がいます。
子供を持つ配偶者である、後妻には遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。
前妻が育てる子供も、死亡した元夫にとっての実子であり、元夫が生前に養育費を支払って、子供の生計を維持していました。
そのため、前妻の子供にも遺族年金の受給権があります。
国民年金法の第41条第2項の「配偶者(後妻)が遺族基礎年金の受給権を有する」という条件に該当するので、前妻の子供の遺族基礎年金は支給停止となります。
また、厚生年金保険法の第66条第1項の「配偶者(後妻)が遺族厚生年金の受給権を有する」という条件に該当するので、前妻の子供の遺族厚生年金は支給停止となります。
後妻の子供も、死亡した夫の子なので、後妻の子供にも遺族年金の受給権があります。
しかし、「配偶者(後妻)が遺族基礎年金の受給権を有する」条件によって、後妻の子供の遺族基礎年金と遺族厚生年金は支給停止になります。
具体例25、前妻には実子、再婚相手の後妻に連れ子がいる場合
後妻の子供は、死亡した夫と養子縁組をしていません。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払う。
- 元夫が再婚、後妻の連れ子とは養子縁組なし。
- 元夫が死亡。
- 前妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 前妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 前妻の子供の遺族基礎年金は支給停止
- 前妻の子供は遺族厚生年金をもらえる
- 後妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の遺族厚生年金は支給停止
- 後妻の子供は遺族基礎年金の受給権なし
- 後妻の子供は遺族厚生年金の受給権なし
このケースでのポイントは、後妻の子供は夫と養子縁組をしていないことと、夫が前妻の子供に養育費を支払っていることです。
後妻の子供は、死亡した夫と養子縁組していないので、戸籍上の親子関係はありません。
遺族年金の制度では、内縁や事実婚でも、特別に認められるのは配偶者だけです。
養子の場合は、どんなに実質的に子供と同じ状況であっても、正式な法令上の手続きがなければ、遺族年金の対象となる子供として認められません。
つまり、このケースでは、死亡した夫の子供ではない、後妻の子供には遺族年金の受給資格は一切ありません。
また、死亡した夫の配偶者である後妻は、生計が同じである「死亡した夫の子供」がいない状態なので、後妻には遺族基礎年金の受給権がありません。
連れ子は、後妻自身の子供ですが、「死亡した夫の子供」ではないからです。
後妻には、遺族厚生年金の受給権はありますが、遺族基礎年金の受給権がないため、優先順位が下がり、後妻の遺族厚生年金は支給停止となります。
離婚した前妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
前妻の子供は、死亡した元夫の実子です。さらに、この父子は別々に暮らしていますが、養育費をもらっていたので、死亡した父親から生計を維持されている関係でした。
そのため、前妻の子供には、遺族年金の受給資格があります。
前妻とその子供は生計が同じなので、「生計を同じくするその子の母」がいる前妻の子供の遺族基礎年金は支給停止となります。
これは国民年金法の第41条の第2項の規定です。
死亡した元夫の配偶者である後妻には、遺族基礎年金の受給権がないため、優先的に、前妻の子供に遺族厚生年金が支給されます。
これは厚生年金保険法の第66条第1項の規定です。
具体例26、前妻には実子、再婚相手の後妻の連れ子と養子縁組している場合
後妻の子供は、死亡した夫と養子縁組をしています。
- 離婚して親権は妻で子供を養育、元夫は養育費を支払う。
- 元夫が再婚、後妻の連れ子と養子縁組。
- 元夫が死亡。
- 前妻は遺族基礎年金の受給権なし
- 前妻は遺族厚生年金の受給権なし
- 前妻の子供の遺族基礎年金は支給停止
- 前妻の子供の遺族厚生年金は支給停止
- 後妻は遺族基礎年金をもらえる
- 後妻の遺族厚生年金をもらえる
- 後妻の子供の遺族基礎年金は支給停止
- 後妻の子供の遺族厚生年金は支給停止
このケースでのポイントは、後妻の子供は夫と養子縁組をしていることです。
死亡した夫にとっては、後妻の子供は、連れ子であり、血縁上の実子ではありません。
しかし、正式な養子縁組をして、戸籍上は親子になっているので、後妻の子供は遺族年金の対象になります。
死亡した夫の配偶者である後妻は、夫の死亡時点で、「後妻の子供」=「夫の養子」と生計が同じです。
そのため、国民年金法第37条の2第1項の規定により、後妻には遺族基礎年金が支給されます。
さらに、後妻には遺族厚生年金も支給されます。
後妻の子供は、遺族基礎年金の受給権はありますが、「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有する」ので、遺族基礎年金は支給停止です。
これは国民年金法の第41条の第2項の規定です。
また、配偶者である後妻に遺族基礎年金の受給資格があるので、後妻に優先的に遺族厚生年金が支給されます。
そのため、後妻の子供への遺族厚生年金は支給停止となります。
これは厚生年金保険法の第66条第1項の規定です。
離婚した前妻には、遺族年金の受給資格は一切ありません。
前妻の子供は、遺族基礎年金の受給権はありますが、「配偶者(後妻)が遺族基礎年金の受給権を有する」ので、遺族基礎年金は支給停止です。
これは国民年金法の第41条の第2項の規定です。
また、遺族厚生年金も、配偶者である後妻に遺族基礎年金の受給資格があるので、前妻の子供への遺族厚生年金は支給停止となります。
これは厚生年金保険法の第66条第1項の規定です。
まとめ、遺族年金の基本ルール
基本ルール1、死亡した夫が年金保険料を支払っていること。
しっかり、年金保険料は納めておきましょう。
当たり前ですが、遺族年金を受け取るには、死亡した夫が、年金保険料を納めていることが条件です。
- 直近1年間に年金保険料の滞納がある。
- 過去に年金の未加入・未納期間がある。
こんな場合は、残された遺族が、遺族年金が受け取れない場合があります。
年金は老後だけじゃなく、突然の死亡の生命保険の役目があります。
脱サラして起業した時や、転職した時。こんなタイミングで、うっかり手続きを忘れると、遺族年金が受け取れない事態になるので、注意しましょう。
基本ルール2、年収850万円以上なら所得制限で受給資格なし。
年収850万円以上なら、遺族年金の受給資格がありません。
遺族年金の対象となる、残された妻や子供に一定以上の収入がある場合は、所得制限により、遺族年金の対象者から除外されます。
優先順位が上位の対象者が、所得制限で除外された場合は、次の優先順位の対象者に受給資格が移ります。
例えば、死亡した夫の配偶者である妻が、年収1000万円だった場合は、所得制限により、この妻には受給資格がないので、次の優先順位の子供に受給資格が移ります。
ここでの所得制限とは、遺族年金を受け取る遺族の所得制限です。
死亡した本人の生前の収入には所得制限はありません。
- 1、前年の収入が850万円未満
- 2、前年の所得が655.5万未満
1か2の、どちらかの条件を満たせば、所得制限の範囲内とされ、遺族年金の対象者と認められます。
基本ルール3、失権とは。
失権は受給権が消滅し、永久に復活できません。
失権とは、遺族年金の受給権が消滅することです。
一旦、失権すると、その後に、権利が復活することはありません。
優先順位の高い受給者が失権すると、それまで支給が停止されていた、次の順位の受給権者が遺族年金を受け取れます。
例えば、夫の死後に、残された妻が再婚した場合は、遺族年金は失権します。
その再婚の後に、再婚相手と離婚してシングルマザーに戻っても、遺族年金の受給権は失権しているので復活しません。
遺族基礎年金の失権は、国民年金法の第40条、遺族厚生年金の失権は、厚生年金保険法の第63条で、規定されています。
基本ルール4、支給停止
支給停止は、復活での支給OKです。
支給停止とは、遺族年金の受給権はあるが、一時的に支給を停止されている状態のことです。
支給停止では、遺族年金を受け取る権利そのものは消滅していません。
支給停止に該当する理由がなくなれば、支給停止は解除されて、遺族年金の支給が始まります。
例えば、夫の死後に、残された妻と子供がいた場合、妻である「子供の母」が優先的に遺族年金を受け取ります。
この時、母と生計が同じ場合は、子供は支給停止の状態になります。
もし母が死亡した場合は、子供の支給停止が解除され、子供が遺族年金を受け取ることになります。
基本ルール5、再婚は失権
妻の再婚で、遺族年金の受給権は失権します。
死亡した夫の遺族年金の受給権は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、妻が再婚すると失権します。
国民年金法の第40条第1項第2号と、厚生年金保険法の第63条第1項第2号の規定です。
基本ルール6、養子縁組は失権
子供が養子縁組した場合は、その子の遺族年金の受給権は失権します。
死亡した親の遺族年金の受給権は、遺族基礎年金と遺族厚生年金ともに、子供が養子になると失権します。
ただし、直系血族または直系姻族の養子になった場合は、失権しません。
国民年金法の第40条第1項第3号と、厚生年金保険法の第63条第1項第3号の規定です。
また、死亡した親の養子としての遺族年金は、その養子縁組を解消する離縁によって失権します。
国民年金法の第40条第3項第1号と、厚生年金保険法の第63条第1項第4号の規定です。
もちろん、子供の遺族年金受給権は、18歳の高校卒業で失権します。
基本ルール7、事実婚も配偶者とみなす。
遺族年金の制度では、内縁や事実婚でも、婚姻関係と同じ事情なら、配偶者とみなします。
・厚生年金保険法 第3条第2項
この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
夫が亡くなったら、内縁・事実婚であっても、婚姻と同じ扱いで、遺族年金が支給されます。
夫の死後に他の男性と、内縁・事実婚であっても、婚姻と同じ扱いで、遺族年金は失権します。
同棲状態なら、生計が同じとみなされ、事実婚と同じく、遺族年金が失権します。
別居していても、相手の男性から経済的援助を受けて、生計が同じと判断されれば、遺族年金は失権する可能性があります。
基本ルール8、養子縁組は戸籍上の養子だけ。
事実上の養子と同様の事情でも、養子とは認められません。
子供との養子縁組は、同居して生計を同じくする、事実上の子供と同様の事情であっても、正式な法令上の手続きがないと、養子とは認められません。
内縁や事実婚の妻は、戸籍上の正式な妻でなくても、遺族年金の受給権が認められます。
しかし、養子縁組で、遺族年金の受給権が認められるのは、戸籍上の正式な養子だけです。
いわゆる連れ子で、正式な養子縁組のない関係の場合は、遺族年金の受給権は一切ありません。
基本ルール9、結婚の年数は関係ない。
結婚して何年経つかは、関係ありません。
遺族年金の受給権には、結婚して何年経っているかという結婚年数は、関係ありません。
結婚した直後に、夫が死亡しても、もちろん、残された新妻は、遺族年金の対象になります。
遺族年金の金額も、夫婦の婚姻期間には関係なく、金額が決まります。
逆に、離婚した直後に、夫が死亡しても、離婚が成立してる以上、元妻は遺族年金を一切受け取れません。
長年、連れ添った夫婦が熟年離婚、その後に夫が再婚し、すぐに死亡したら、再婚した妻が遺族年金制度での妻・配偶者になり受給権を得ます。
離婚した以上、何十年間婚姻期間があったとしても、元妻には、遺族年金の受給権は一切ありません。
基本ルール10、2人以上の子供の遺族年金、均等に分割で支給
2人以上に支給される時には、均等分割で支給されます。
子供に対して遺族年金が支給される時には、子供が1人だけなら、全額がその1人の子供に支給されます。
しかし、2人以上の子供が遺族年金をもらう場合は、遺族年金の金額は、均等に分割して支給されます。
遺族基礎年金でも、遺族厚生年金でも、均等分割のルールは同じです。
国民年金法の第39条の2と、厚生年金保険法の第60条第2項の規定です。
関係法令
国民年金法
第五条
7 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
第三十七条の二 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
一 配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。
二 子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
2 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。
3 第一項の規定の適用上、被保険者又は被保険者であつた者によつて生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。
第四十条 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 養子となつたとき(直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く。)。
2 配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか、第三十九条第一項に規定する子が一人であるときはその子が、同項に規定する子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてその全ての子が、同条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
3 子の有する遺族基礎年金の受給権は、第一項の規定によつて消滅するほか、子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき。
二 十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。
三 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
四 二十歳に達したとき。
第四十一条 遺族基礎年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
2 子に対する遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき(配偶者に対する遺族基礎年金が第二十条の二第一項若しくは第二項又は次条第一項の規定によりその支給を停止されているときを除く。)、又は生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは、その間、その支給を停止する。
第四十一条の二 配偶者に対する遺族基礎年金は、その者の所在が一年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時に遡つて、その支給を停止する。
2 配偶者は、いつでも、前項の規定による支給の停止の解除を申請することができる。
第四十二条 遺族基礎年金の受給権を有する子が二人以上ある場合において、その子のうち一人以上の子の所在が一年以上明らかでないときは、その子に対する遺族基礎年金は、他の子の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 前項の規定によつて遺族基礎年金の支給を停止された子は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
3 第三十九条の二第二項の規定は、第一項の規定により遺族基礎年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。この場合において、同条第二項中「増減を生じた日」とあるのは、「支給が停止され、又はその停止が解除された日」と読み替えるものとする。
厚生年金保険法
第三条
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
第五十九条 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪そうの宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
一 夫、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。
二 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか、又は二十歳未満で障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
2 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
3 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、第一項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していた子とみなす。
4 第一項の規定の適用上、被保険者又は被保険者であつた者によつて生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。
第六十三条 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
三 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。
四 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者との親族関係が終了したとき。
五 次のイ又はロに掲げる区分に応じ、当該イ又はロに定める日から起算して五年を経過したとき。
イ 遺族厚生年金の受給権を取得した当時三十歳未満である妻が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を取得しないとき 当該遺族厚生年金の受給権を取得した日
ロ 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有する妻が三十歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したとき 当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日
2 子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 子又は孫について、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にあるときを除く。
二 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
三 子又は孫が、二十歳に達したとき。
3 父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、消滅する。
第六十四条 遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について労働基準法第七十九条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から六年間、その支給を停止する。
第六十四条の二 遺族厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。
第六十五条 第六十二条第一項の規定によりその額が加算された遺族厚生年金は、その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する。
第六十五条の二 夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が六十歳に達するまでの期間、その支給を停止する。ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、夫が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有するときは、この限りでない。
第六十六条 子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、配偶者に対する遺族厚生年金が前条本文、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
2 配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、配偶者が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であつて子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
第六十七条 配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が一年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 配偶者又は子は、いつでも、前項の規定による支給の停止の解除を申請することができる。
第六十八条 配偶者以外の者に対する遺族厚生年金の受給権者が二人以上である場合において、受給権者のうち一人以上の者の所在が一年以上明らかでないときは、その者に対する遺族厚生年金は、他の受給権者の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 前項の規定によつて遺族厚生年金の支給を停止された者は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
3 第六十一条第一項の規定は、第一項の規定により遺族厚生年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。この場合において、同条第一項中「増減を生じた月」とあるのは、「支給が停止され、又はその停止が解除された月」と読み替えるものとする。
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これで私は青色申告しています。
たくさん税金払うの好きですか?