起業して会社設立、法人成りのメリットとデメリットを考えます。
会社設立して法人成り、私の考え。
個人事業主の法人成りには、メリットとデメリットの両方があります。
それぞれ個人で、事業の内容は違いますが、収入がある程度増えてくると、誰でも一度は法人成りして、会社を設立しようかと、考えるはずです。
結論を言うと、私は、法人成りしていません。
事業での利益が年間2,000万円を超えるまで、個人事業主のままでいるつもりです。
残念ですが、年間2,000万円の予定が全くないので、ずっと個人事業主のままですね。笑
よく言われる会社設立の目安の、売り上げ年間1,000万円程度では、私の事業の場合では、法人成りが有利とはとても思えません。
法人成りを悩んでいるけど、会社設立のメリットって本当なのか?、と疑問に感じている方へ、私の考えをまとめました。
個人事業主の私が法人成りしない33の理由。会社設立のメリットとデメリット
1、法人成りのデメリット、手続きが面倒、会社設立にはお金と手間がかかる。
実を言うと、私のような、一人社長の法人成りは、そんなに手続きが面倒だとは感じません。
昔は、専門家の士業の方に依頼して、会社設立は、いろいろ大変だったそうですが。
会社設立の手続き
- ネットの会社設立代行サービスを利用
- 会社の方式は、合同会社
- 費用は全部で8万円程度
- 法務局に1回行くだけ
- 期間は、1週間以内で完了
ネットの会社設立代行サービスを利用すると、合同会社では、1週間以内に、全部で8万円程度あれば、法務局に1回行くだけで、会社設立ができます。
会社を設立するだけなら、たったこれだけで、手続きできます。
しかし、合同会社であっても、約8万円の設立費用と、法務局登記の、手間がかかるのは事実です。
個人事業主を継続するなら、一切のお金と手間がかかりません。いままで通りの事業を続けるだけでOKです。
2、法人成りのデメリット、法務局の登記事項変更に費用がかかる。
法人成りでは、手続きに費用がかかります。
法人の法務局登記費用
- 株式会社の設立、15万円
- 合同会社の設立、6万円
- 役員の変更登記、1万円
- 事業目的の変更登記、3万円
法人の設立には、法務局への登記が必要ですが、この登記には登録免許税という費用がかかります。
株式会社なら最低で15万円、合同会社なら6万円です。
また、登記事項の変更にも、登録免許税がかかります。役員の変更登記には1万円、事業目的の変更登記には3万円です。
また、手続きを司法書士などに代行を依頼すると、手数料がかかります。
個人事業主では、税務署への届け出程度で、無料のものばかりです。
法務局への手続きは不要で、法務局へ行く必要がありません。
個人事業主の手続きは、無料のものばかり。手続き費用は、明らかな法人成りのデメリットです。
3、法人成りのデメリット、法人は赤字でも住民税均等割が7万円。
法人は、事業の利益がゼロの赤字でも、法人住民税の均等割が7万円かかります。
個人事業主では、事業の利益がなければ、所得税、住民税、事業税は一切かかりません。
赤字の場合の税負担
- 法人は赤字でも住民税が7万円。
- 個人事業主は赤字なら、税金はゼロ。
利益がゼロでも、法人住民税7万円支払う点は、明らかに法人成りのデメリットです。
4、法人成りのデメリット、税務調査の対象になりやすい。
個人事業主でも税務調査の可能性はあります。
しかし、法人成りすると確率がさらにアップします。
法人は税務調査の確率がアップ
- 個人事業主は多すぎ、法人は比較的少ない。
- 法人は帳簿が整備されており税務署が調査しやすい。
- 法人の方が事業規模が大きい。
これが、個人事業主と比較して、法人に税務調査が多い理由と言われています。
税務調査の確率が少ない個人事業主のままの方が、面倒に巻き込まれる可能性が少なくて済みます。
私は、できることなら税務調査は受けたくないです。
5、法人成りのデメリット、健康保険、年金の負担が圧倒的に多い。
個人事業主と法人の違い、社会保険の制度が変わります。
個人事業主は、国民健康保険と、国民年金への加入が義務です。
法人成りして、会社から給与をもらうと、法人向けの社会保険と厚生年金に加入が義務です。たとえ、社長が一人だけの会社であっても、国民健康保険と国民年金からの、制度の切り替えが義務です。
支払った保険料で節税できる点では、個人でも、法人でも、どちらも同じです。
個人の健康保険と年金の保険料は、事業の経費にはできませんが、支払った全額を社会保険料控除にすることができます。
法人の場合は、健康保険と年金の保険料は、会社と個人がそれぞれ折半して、半分ずつ負担する制度です。会社が負担した保険料は、会社の経費にすることができます。個人が負担した保険料は、個人の社会保険料控除にすることができます。
個人と法人での健康保険と年金の最大の違いは、支払う保険料の金額です。
- 1、個人事業の所得が800万円。
- 2、社長の所得800万円。
この2つのケースで、健康保険と年金の保険料を比較します。
健康保険料の比較
まずは、健康保険の比較です。
- 1、個人事業の所得が800万円のケース
個人事業主の場合は、国民健康保険に加入します。
課税所得が800万円だと、健康保険料は上限近くなるので、年間80万円程度です。
ただし、国民健康保険は世帯単位での負担なので、家族が何人加入しても、年間80万円程度が上限です。
- 2、法人社長の所得800万円のケース
法人の場合は給与収入800万円だと、年間80万円程度の健康保険料がかかります。
会社と個人が折半する制度ですが、会社の負担ということは、経営者である社長の負担と、結局同じことです。
法人の健康保険の場合は、無職の家族がいる場合は、保険料なしで家族も加入できる扶養制度があるので、その点は法人の健康保険が有利になります。
しかし、法人から給与をもらう家族が多いと、法人の健康保険は、個人がそれぞれ負担なので、その人数分だけ健康保険料を上乗せで支払うことになります。
健康保険の負担は、一人分だと、どちらも同じ。家族が多いと、法人の負担が多くて不利になる。
年金保険料の比較
次は、年金の比較です。
- 1、個人事業の所得が800万円のケース
個人事業主が加入する国民年金は所得に関係なく、年間20万円程度です。
将来もらえる年金が少ないとは言え、負担する保険料が少ないのはメリットです。
障害年金や遺族年金の対象にもなります。
- 2、法人社長の所得800万円のケース
法人の場合は給与収入800万円だと、年間130万円程度です。
将来もらえる年金が増えるとは言え、負担する保険料は圧倒的に多くなるのは、明らかなデメリットです。
年金の負担は、法人の負担が圧倒的に多くて不利です。
従業員を雇用している場合の比較
次に、従業員の健康保険と年金です。
個人事業主の場合、従業員が5人未満なら、従業員は各個人で国民健康保険と国民年金に加入します。
しかし、法人なら従業員の人数にかかわらず、従業員の健康保険料と厚生年金保険料の半額は、会社が負担することになります。
法人で従業員を雇用すると、社会保険料の負担で不利になる。個人事業主なら、負担なしです。
法人成りして会社を設立しても、健康保険と年金の負担が、圧倒的に増えるのが嫌で、国民健康保険と、国民年金に加入を続ける経営者もいます。
従業員にも、社会保険を加入させない会社もあります。
健康保険と年金の、制度切り替えの督促にも抵抗して、強制加入の義務を果たさない人も多くいるのは事実です。
社会保険料の圧倒的な増加は、法人成りのメリットを帳消しにして、むしろ、法人成りが不利になってしまうからです。
役所の督促に抵抗して、義務を果たさないブラック会社なら、本来は不当なことですが、金銭的負担を拒否して、利益を得ることができます。
私は、社会保険料の負担の少ない個人事業主のままでいます。役所と争うのって嫌いですから。
6、法人成りのデメリット、会計や税制が苦手なら、委託費用がかかる。
法人税の申告は個人より難しく、税理士への費用が増えちゃいます。
法人でも、決算書の作成は、個人事業主と大して違いはありません。
しかし、法人税申告書は、個人の確定申告書に比べて、ちょっと複雑になっています。
ネットで情報を集めれば、自分で法人税申告書を作成することは、十分可能です。
会計や税制が苦手な社長は、税理士や会計士に、法人税申告業務を委託することになるかもしれません。
そうなれば、委託費用がかかります。
税理士などへの支払う費用が増えることになれば、法人成りのメリットも帳消しになります。
プロの節税アドバイスが受けられると言えば、聞こえはいいですが、個人事業主では一切不要な費用です。
そもそも、税理士から勧められて法人成りすると、その税理士への支払いが増加するって、納得できますか?
個人事業主では、青色申告でも、会計アプリを使えば、決算書の作成から確定申告まで、簡単にできます。
これで私は青色申告しています。
7、法人成りのメリット?、会社は有限責任
法人だと、経営者に責任はないの?
個人事業主は、事業での全責任を負います。
事業に失敗すると、個人の全財産で、債務の返済義務があります。
会社設立のメリットの一つが、法人では事業の責任が有限責任になる点です。
会社が事業に失敗しても、出資者は、出資した金銭の責任を負うだけです。
会社が多額の借金を返済できず倒産しても、出資者は自分の出資金が回収できないだけで、借金の返済義務はありません。
裁判での訴訟リスクを考えると、この点は、法人がとても有利に思えます。
しかし、現実は甘くはありません。
有限責任になるのは出資者だけで、経営者、代表者であれば事実責任を追求され、無限責任の個人事業と同じです。
従業員がいない一人社長の会社の場合、資金を借り入れる時には、経営者個人が連帯保証しないと、銀行は資金を貸してくれません。
そして、損害賠償請求などの訴訟になると、一人社長の会社の場合は、法人である会社と、個人である経営者の、両方を相手に訴えられてしまいます。
資金だけ出資して事業に一切関わらない株主(出資者)になるなら、会社設立は有利な方法です。
でも、法人成りするほとんどの人は、会社の代表者として、今まで通りの仕事を続けるはずです。
その場合、実上の無限責任で訴訟リスクから逃げられません。
それなら、個人事業主のままでいるのと、変わりはありません。
訴訟リスクから逃げられないなら、個人事業主のままでいるのと、変わりはありません。
8、法人成りのメリット?、自分に給料で節税、給与所得控除
給与所得控除をフル活用できる?
法人では、社長である自分への給料が、会社の経費にできます。
社長であっても、給料を受け取る立場になれば、給与所得控除が活用できます。
この給与所得控除は、法人成りが確実に有利な節税方法です。
事業所得にも、青色申告特別控除65万円があります。
そして、年間の給与収入が162万5千円までは、給与所得控除は65万円です。
これでは、青色申告特別控除と同じです。
しかし、給与所得控除は、給与収入の増加に比例して、控除額も大きくなります。
この2つのケースで比較します。
- 個人事業の利益が800万円。
- 社長の給与800万円で、法人の利益はゼロ。
給与収入が800万円なら、給与所得控除は200万円です。
青色申告特別控除65万円と比較して、135万円も控除額が増加します。
所得税率20%と住民税率10%とすると、給与では約40万円の節税になります。
ただ、法人の場合は利益がゼロでも、法人住民税の均等割7万円の支払いがあります。
そのため、このケースでは、差額は33万円になります。
法人成りを勧める情報には、事業所得の青色申告特別控除65万円と、法人税均等割7万円を計算に入れず、法人のメリットを過大に説明している場合があるので注意しましょう。
もっともっと、この給与所得での節税効果が大きければ、法人成りが圧倒的に有利になると思います。
しかし、法人成りによって増加する支払い、税理士への費用や、社会保険料などがあります。
この程度の給与所得控除の節税額では、増加する支払いで、メリットが帳消しになっていきます。
給与所得控除は確かにお得。しかし、増加する他の支払いで目減りします。
9、法人成りのメリット?、消費税が2年間免除される。
消費税の免税事業者、計算方法に注意しましょう。
法人成りすると、最大で2年間、消費税の免税事業者になることができます。
消費税の課税事業者は、前々事業年度の売り上げで判断されます。
新たに設立した会社は、過去の事業年度がなく、個人事業時代の売り上げに関係なく、免税事業者になれるからです。
-
例)売上が1,000万円で法人成り場合
サービス業で売上が1,000万円の個人事業主の場合、簡易課税のみなし仕入率は50%なので、納税する消費税は40万円です。
法人成りすると、この消費税40万円を納税しなくていいのです。
しかし、ここで注意、40万円を得する訳ではありません。
この消費税40万円の納税は、全額を事業の経費にできます。
40万円経費が増えれば、所得税率23%、住民税率10%、健康保険料率10%程度として、税金&保険料の支払いが17万円程度も減ります。
つまり、消費税の免税事業者になったメリットは、実質は年間23万円程度、2年間で46万円って計算になります。
法人成りで消費税の免税事業者になれる、という情報は、その計算内容もよく注意して確認しましょう。
法人成りで、消費税の免税事業者になることで、売上1,000万円なら年間80万円、2年で160万円もお得になる。こんなデタラメな情報も見かけるので、注意しましょう。
10、法人成りのメリット?、家族に給料で、所得分散効果
個人事業主でも青色申告なら、家族への給与が認められます。
所得税は収入が多いほど税率が高いので、家族で所得を分散すると、家族のトータルでは税金を抑えることができます。
家族への給料で所得を分散して節税する、これは個人でも法人でも、違いはありません。
ただ、妻が起業して会社を設立すると、妻の仕事を手伝ったサラリーマンの夫へ、給料を支払うことが可能になります。
もちろん、その給料も会社の経費にできます。
個人事業主でも家族に支払った給与を全額経費にできます。
しかし、15歳以上で専業で事業を手伝う家族という条件付きです。
そのため、学生やサラリーマンの家族へのアルバイト代は、個人事業の経費にできません。
法人でも注意が必要なのは、副業禁止のサラリーマンです。
本業の会社の就業規則に違反してしまうので、給料を支払えません。
また、夫婦二人で事業をしている場合は、個人事業でも青色事業専従者として、全額を事業の経費にできるので、法人成りする意味がありません。
さらに、別居して生計を別にする両親などへ、給料を支払う場合も、個人事業でも何も制限なく全額を事業の経費にできるので、法人成りする意味がありません。
つまり、法人成りすることで、個人ではできない給料の支払いが可能になる家族とは、この程度です。
- 生計が同じで副業OKのサラリーマン
- 生計が同じ学生
ただし、小学生の子供に100万円も給料を支払ったことにしても、当たり前ですが、税務署から否認されます。
私の家族は、副業NGの夫、それと小学生の子供なので、法人成りしても、家族への給料は支払えません。
11、法人成りのデメリット、自分の給与の金額、自由に変更できない。
法人では、自分の給与は事前に決めなきゃいけません。
法人化した時の自分への給料、この役員報酬の金額は、いつでも自由に金額を変更できません。
金額を変更する場合には、事業年度が始まって3ヶ月以内に決めないといけません。
法人の利益と、個人の収入を最適化して、節税するのが法人成りのメリットです。
しかし、1年の終わりに、利益が多いので、自分への役員報酬を増やして節税する、この方法が使えません。
- 売り上げの見込みが不確か。
- 年間の利益の予想が難しい、
こんな事業では、節税に最適な自分への役員報酬の金額の予想が難しく、節税効果が少なくなります。
1年の終わりに、利益を計算して、自分の給与を調整する。
残念ですが、こんな都合のいいことは、法人成りしても、認められません。
私のネット事業では、年間の売上見込みが不透明で、自分の給与での節税効果が薄れます。
12、法人成りのメリット?、自分と家族に退職金を支給できる。
退職金は、税金が安いので有利な制度です。
退職金は、通常の給与や賞与と比べて所得税が安いので、受け取る個人にとって有利な制度です。
法人では、社長自身と家族にも、退職金が支給できます。
しかし、個人事業主では、事業主自身と家族である青色事業専従者へは、退職金は支給できません。
ただし、個人事業主であっても、家族以外の「一般の従業員」へは、税率の有利な退職金を支給して、事業の経費にできるので、法人と個人に違いはありません。
個人事業主と、その家族である青色事業専従者は、「小規模企業共済制度」を活用すれば、事実上の退職金制度になります。
事業専従者でも2名までは、共同経営者として、小規模企業共済に加入できます。
事業主の夫、専従者の妻と子、合計3名で月額7万を積み立てると10年で2,520万円の退職金になります。
細かいことを言えば、法人の損金と、個人の所得控除との違いがありますが、支払い時まで損金にできない法人より、共済制度では積み立てる時から所得控除できる点は有利です。
個人事業主でも、小規模企業共済制度を活用すれば、自分への退職金を受け取れます。
13、法人成りのメリット?、離婚・破産しても事業資金は大丈夫。
個人事業主が離婚、財産分与の対象に。
個人事業主では、事業用の資金と、生活用の資金の区別がありません。
全ての資金が、個人事業主の個人資産として扱われます。
事業主が離婚すると、個人事業主の全ての資産は配偶者との財産分与の対象になります。
たとえ事業用の資金であっても、個人資産として、離婚協議の対象になります。
また、事業主が生活資金を使いすぎて破産した場合には、事業が破綻したのと同じことです。
- 社長が離婚
- 派手な生活で社長個人が破産
こんな事態でも、法人成りすれば、会社の資金は個人と区別されているので、事業用資金は大丈夫です。
離婚の予定があれば、法人成りして事業資金をプライベートと分割しておきましょう。
私は、今のところ、離婚の予定はありませんし、個人的に破産する予定もありません。
14、法人成りのメリット?、自宅を社宅にして家賃を経費に。
法人では、住居専用の自宅も、会社の経費にできます。
個人事業主でも自宅で仕事をする場合は、自宅家賃を経費にできます。
しかし、法人では、住居専用の自宅も、会社の経費にできます。
個人事業主で、自宅家賃を事業の経費にできるのは、自宅で仕事をしている場合だけ。
自宅と仕事の事務所が別の場合は、メリットが大きくなります。
居住する自宅の賃貸契約を、個人から法人へ変更します。
そして、法人が家賃の全額を大家さんへ、個人が法人へ家賃の半分を社宅使用料として支払う形式にすると、家賃の半分が会社の経費にできます。
賃貸住宅の場合は、手続きは簡単です。
持ち家の場合の手続きは、ちょっと面倒です。
社宅にするため、所有権を個人から法人へ変更する方法では、強力な節税方法の住宅ローン控除が受けられない問題があります。その上、万が一法人が倒産した場合は、法人所有となった自宅は、借金返済に充てられます。
持ち家の自宅の所有権を変更せず、家族名義の自宅を法人が賃貸契約する方法です。
この方法では、法人が支払った家賃が、受け取った個人の収入となり、家族個人の課税額が増えてになってしまいます。
自宅の名義が、副業禁止であるサラリーマンの夫の場合は、夫に自宅での不動産収入が発生してしまいます。
さらに、自宅を事業用の賃貸契約するので、住宅ローン減税の問題もあります。
私の場合は、賃貸住宅に住んで、自宅で仕事をしています。
個人事業主の今でも、自宅の家賃を事業割合で事業の経費にできています。
さらに、会社員の夫の会社から、家賃補助の住宅手当が支給されています。
賃貸契約を法人名義にすると、夫の住宅手当が打ち切られます。
- 自宅で仕事、個人事業主でも既に事業の経費にできている。
- 夫の住宅手当がもらえている。
自宅で仕事の、私の場合は、個人事業主のままの方がお得なんです。
15、法人成りのメリット?、自分に出張の日当を支給できる。
法人成りした会社では、社長へ支払った出張の日当も、事業の経費にできます。
出張の日当は所得税・住民税が非課税なので、受け取った側にとってメリットがある制度です。
もちろん出張の日当は、全て事業の経費にできます。
個人事業主でも、従業員へは出張の日当が支払えます。
しかし、事業主本人へは、出張の日当は支払えず、事業の経費にできるのは実費だけです。
法人成りした会社では、社長へ支払った出張の日当も、事業の経費にできます。
事業の利益800万程度の場合は、社長が出張した1日で5千円の日当を支給すれば、所得税23%と住民税10%に相当する1650円が節税できます。
毎週出張するのであれば年間50回で、82,500円の節税になります。
しかし、私は出張があまりなく、無理して出かけたいとも思いませんので、出張日当のメリットは、ほぼありません。
ネットで内職する私の場合は、家事があるので、残念ですが、めったに出張しません。
16、法人成りのメリット?、社長の生命保険を経費にできる。
法人成りすると、経営者の生命保険料の全額を会社の経費にできます。
個人事業主では、事業主の生命保険料は、事業の経費にはできません。上限額の範囲内で、所得控除にできるだけです。
法人成りすると、経営者の生命保険料の全額を会社の経費にできます。
ただし、経営者が死亡して、保険金を受け取るのは、遺族ではなく会社です。それも会社の収入になって課税対象になります。それと、貯蓄にもなる養老保険では、経費にできるのは半額だけです。
そもそも、ある程度の貯蓄さえあれば、過剰な生命保険は不要です。また、大企業が一括で加入する団体生命保険は、一般の契約の生命保険に比べて圧倒的に有利な条件ですが、法人成りしたばかりの小企業では、有利な団体生命保険には、とても加入できません。
私の場合は、団体生命保険に夫の会社を通じて加入してます。ある程度の貯蓄もあるので、これ以上の生命保険は不要です。
17、法人成りのデメリット、法人は接待交際費に制限がある。
交際費は、個人事業主の方が有利です。
交際費を経費にするには、法人の方が不利で、個人事業主の方が、有利な制度になっています。
個人事業主の接待交際費は、年間の金額に上限はありません。
しかし、法人では、接待交際費の年間の金額に制限があります。
法人の接待交際費
- 中小企業は800万円まで。
- 大企業は一切経費にできない。
これを超える接待交際費は、法人では税法での経費にできず、税法上での課税対象にされてしまいます。
たとえ、会社のお金で飲食代を支払っても、税金の計算では、法人税が課税されてしまうのです。
ただし、一人当たり5,000円以下の飲食代は、法人でも全額を経費にすることができます。
私は個人事業主の今でも、もったいないので接待交際費は、基本的に使いません。
法人成りしても、年間800万円なんて、とても考えられません。
ド派手に接待交際費を使う人以外は、個人でも法人でも、交際費の上限なんて関係ない話です。
18、法人成りのデメリット、銀行口座を作れない。
個人だとすぐに開設できる銀行口座は、逆に、法人の方が必要書類や審査が厳しくなります。
大手の都市銀行などでは、何度も書類を要求されたり、口座開設まで、1ヶ月間も待たされる場合もあります。
何故か、会社のホームページを印刷して持参するように指示する銀行もあるそうです。
法人は銀行口座が作りにくい。
- 資本金の金額が少ない。
- 固定電話の番号がない。
- 事務所が自宅兼用。
- 事業目的を理解してくれない。
こんな理由で、銀行口座の開設を拒否してくる銀行だってあります。
都市銀行や地方銀行ではなく、信用金庫だと、設立したばかりの法人でも、すぐに口座を開設してくれます。
個人事業主の場合は、銀行口座の開設は「個人」として行うので、銀行はお客様として扱ってくれます。
しかし、法人相手になると、銀行はいきなり高飛車な態度になるのです。
法人というだけで、銀行から高飛車な態度で対応されるなんて、嫌ですよね。
19、法人成りのメリット?、銀行融資が受けやすい。
銀行からの融資は、法人の方が受けやすくなります。
個人事業主より、法人の方が銀行からの融資が受けやすくなります。
個人の場合は、銀行口座は誰でも簡単に作れますが、事業用の融資を受けるとなると、基本的に銀行は相手にしてくれません。
銀行融資の条件は、担保を差し出すか、第三者の保証が必要になります。この担保か第三者保証が無理なら、銀行はお金を貸してくれません。
法人の場合、銀行口座の開設では、銀行が厳しい対応をしてきます。しかし、一旦口座さえ作れたら、個人事業主より、融資を受ける条件はゆるくなります。
法人が銀行から融資を受ける場合は、代表者が個人として連帯保証をすれば、ほとんどの場合で認められます。
つまり、法人の場合は自分自身が保証すればOK、個人事業主は自分以外の第三者の保証が必要、と言うことです。
もし借金を返せない場合に、自分が破産するだけで済むのか、他人まで迷惑をかけるか、それが法人と個人の違いです。
私の場合は、初期投資がほぼ不要な事業内容です。銀行から融資を受ける必要がなく、法人成りでのメリットはありません。
私の事業では、銀行から、お金を借りるつもりはありません。
20、法人成りのメリット?、会社が倒産しても、個人資産は大丈夫?
大企業なら、個人と法人は別物ですが…
会社が事業に失敗して、負債を抱えて倒産する。そんな場合でも、法人成りしていれば、会社と個人の資産は区別されているので、個人には借金の返済などはなく、個人資産は大丈夫です。
しかし、これは大企業の社長の話です。
個人事業主が法人成りした小規模な会社では、銀行から借入する時には、担保を提供するか、代表者の連帯保証が、必須条件です。
結局、倒産した会社の借金は、社長が個人で連帯保証しているので、個人資産で借金を返済しなきゃいけないのです。世の中、甘くはありません。
小規模な会社では、社長の連帯保証が原則。世の中甘くはないんです。
21、法人成りのメリット?、社会的に信用される。
日本では、大企業は、個人と取引しない。
大企業との取引では、法人設立が事実上の必須条件になっているのが現実です。
大企業は、個人事業主との取引を嫌がります。
個人事業主から法人成りを決める理由は、この大企業との取引を行うため、という理由が一番多いほどです。
大企業が法人と取引したがる理由
- 法人なら会社法や商法の規定で取引相手が保護される。
- 法人なら登記情報を閲覧して確認できる。
- 法人なら個人資金との区別があり決算が信用できる。
このような理由から、法人成りして会社組織にすると、社会的な信用が上がります。
逆に言えば、個人事業主は、この条件を満たしていないので、社会的な信用が弱く、大企業が取引してくれないとも言えます。
しかし、インターネットの世界は違います。
個人だとネット業界でも審査が厳しくなる場合もありますが、法人じゃなきゃダメというケースは少ないです。
Google、Apple、Amazonなど、世界トップクラスの超大企業でも、日本の個人事業主でも、登録して報酬が得られます。
私はインターネットで内職しているので、法人成りが必要な状況は全くありません。
ネットの内職なら、個人事業主のままで十分です。
22、法人成りのデメリット、事務業務の負担が増える。
個人事業主に比較して、法人では、事務業務の負担が確実に増加します。
法人成りで事務作業の負担増
- 株主総会や取締役会の議事運営の業務
- 法人登記の業務
- 経理や会計の業務
- 社内での規則や制度の維持運営業務
- 社会保険や労働保険の手続き業務
個人事業主では不要の事務業務が、会社を設立すると多くなります。
個人事業主なら、余計な事務作業が少なく、本業に集中できます。
23、法人成りのデメリット、経営の重要事項は、一人で決められない。
個人事業主であれば、どんな経営の重要事項でも、事務作業不要で、事業主が考えた通りに実行できます。
しかし、法人成りすると、経営の重要事項は会議で決めて、議事録などの事務作業も必要になります。
株式会社の場合は株主総会、合同会社であれば出資者である社員総会での、経営の重要事項は議決が必要です。
たとえ、オーナー兼社長が1人の会社でも、議事録作成などの事務処理は必要です。
個人事業主なら、自分の思うままに、なんでも決められます。
24、法人成りのメリット?、従業員が社会保険・厚生年金に加入できる。
法人の社会保険は、保険料負担が大きく不利。
会社では、従業員の人数に関係なく、社会保険・厚生年金への加入が義務付けられています。
また、社長自身も、社会保険・厚生年金への加入義務があります。
個人事業主の場合は、従業員が5人未満の場合は、社会保険・厚生年金への加入義務がありません。
社会保険・厚生年金のメリット
- 傷病手当金がある。
- 出産手当金がある。
- 家族が扶養できる。
- 将来受け取る年金が多い。
このように、社会保険・厚生年金は、手厚い福利厚生となっています。
手厚い福利厚生の代わりに、高額な保険料の支払い義務が、会社にはあります。
保険料の支払いは、従業員自身と会社が折半します。
個人事業主の場合は、社会保険料ではなく、給与やボーナスを従業員に支給すればいいだけです。
法人の社会保険料に相当する現金を、報酬として直接従業員へ渡した方が、従業員にとってお得です。
私は、保険料の安い国民健康保険・国民年金に加入できる、個人事業主が有利だと思います。
25、法人成りのデメリット、ネットバンキング、自動車保険。
法人では手数料が高くなる。
法人での銀行口座では、ネットバンキングに手数料がかかる、銀行があります。
個人では、ほとんどの銀行でネットバンキングは、一定の条件さえ満たせば無料です。
しかし、法人では、無料でネットバンクを利用できる銀行もあれば、月額の使用手数料がかかる銀行もあります。
信用金庫やネット銀行では、法人でも無料の場合が多いですが、都市銀行や地方銀行では、手数料がかかる場合がほとんどです。
また、自動車保険も法人契約になると、保険料が上がります。
従業員がいない、一人社長の会社では、運転するのは社長だけなので、個人事業主との違いはありませんが、自動車保険料は、高くなります。
個人に比較して、法人では高くなる費用もあるので注意が必要です。
26、法人成りのデメリット、事業資金を社長が自由に使えない。
個人事業主は、事業用の資金でも、個人として使うのは自由です。
会計帳簿では、事業主貸の勘定科目で処理するだけです。
法人成りすると、社長であっても会社の資金を個人的に使う場合は、借入契約書を作成して、利息を会社に対して支払う必要があります。
一人社長の会社であっても、自由に資金を使うことができないのは、法人成りのデメリットです。
27、法人成りのデメリット、役員には事業への責任がある。
会社の代表者や役員には、会社の経営に対して、責任があります。
個人事業主は無限責任だけと、法人では有限責任になる。
しかし、代表者や役員は、会社に対しての経営責任があります。
法人で有限責任になるのは、株主や出資者だけです。
もし、代表者や役員が、会社に対して損害を与えたら、
- 損害賠償責任
- 株主代表訴訟
会社が第三者に対して損害を与えた場合にも、法人である会社と同時に、代表者や役員は、経営の責任者として、損害賠償責任の対象になります。
法人成りしても、責任から逃げられるわけじゃないんです。
28、法人成りのメリット?、優秀な人材が集めやすい?
会社組織の方が、優秀な人材が幅広く集まる可能性がる?
個人事業主より、会社の方が、社会的な信用が上がります。
優秀な人材を集めるためには、社会的信用や、社会保険加入、福利厚生の充実などが必要になります。
個人事業主より、会社組織の方が、優秀な人材が幅広く集まる可能性があります。
しかし、個人から法人成りした小企業であれば、優秀な人材を集めるには限界があります。
引く手あまたの本当に優秀な人間が、法人だからと言って、いきなり集まってくるなんて、非現実的で、ありえないことです。
私は、従業員を雇用する予定は、今のところなく、クラウドソーシングへ作業を外注しています
29、法人成りのメリット?、創業支援の補助金が貰いやすい。
補助金・助成金とは、返済が不要の資金を、国や自治体からもらえる、夢のような制度です
国や自治体が実施する多くの公的な補助金・助成金制度に、法人成りすると応募できるようになります。
個人事業主でも応募できる補助金・助成金制度もありますが、法人を対象にした制度の方が、圧倒的に種類が多くあります。
法人への補助金制度
- 創業補助金
- 地域中小企業応援ファンド
- ものづくり補助金
- キャリアアップ助成金
このような、いろんな補助金の制度があります。
しかし、それぞれの制度には、事業計画や、補助制度の趣旨に適合した事業内容かどうかの、審査が実施されます。
資金の使い道も、あらかじめ制約があり、自由に使える訳ではありません。
また、当たり前ですが、起業すれば誰でも貰える訳ではありません。
社員のキャリアアップに使うなどの、公共的な目的が求められます。
私も、自由に使える資金なら欲しいですが、今のところ公共的な目的に資金を使う予定はありません。
返済不要の資金には、興味はあるので、将来的には利用したいです。
30、法人成りのメリット?、株式で相続ができる。
会社なら、事業の相続が簡単にできる。
株式会社の場合は、株式によって相続ができます。
また、合同会社の場合は、あらかじめ相続対象者を出資者に加えておくことで、相続がスムーズにできます。
大企業のオーナー社長の場合は、相続対策のための、法人成りのメリットがあると思います。
しかし、事業のノウハウが事業主個人にある場合は、事業主本人が死亡すると、事業は継続できません。
個人事業主では、事業主が死亡すると、事業用の預金口座でも、本人名義の銀行口座は全て封鎖されますが、事業を継続できないなら、銀行口座が凍結されても構いません。
一人社長の会社では、社長本人が死亡すると、どっちにしろ残された家族では事業を継続できません。
さらに、事業が継続できないので、会社を清算する手続きが必要になります。
法人では、解散・清算手続きにも、お金と手間がかかります。
私の事業は、私自身のノウハウが全てです。
そのため、家族に事業を相続させる予定はありません。
死亡後に、解散手続きにお金と手間がかかる法人は、家族の迷惑になります。
31、法人成りのメリット?、赤字を9年間繰り越せる。
累積赤字で節税、個人なら3年間、法人なら9年間。
個人事業主でも、青色申告していれば赤字を3年間繰越せます。
法人成りすれば、赤字を9年間も、繰り越せるようになります。
赤字が出た年には、翌年以降の黒字と相殺できるので、黒字に対しての税金が節税できます。
しかし、9年間もの繰り越しって、本当に必要ですか?
3年以内に相殺できる範囲の赤字なら、個人事業主でも法人でも同じです。
私の場合は、3年経っても取り戻せないような、巨額の赤字が出る予定はありません。
32、法人成りのメリット?、決算期を自分で設定できる。
法人成りすると、事業年度の開始と決算期を自由に決めることができます。
個人事業主は、事業年度の始まりは1月からで、12月が決算期と決められています。
法人成りすると、事業年度の開始と決算期を自由に決めることができます。
業務が多忙となる時期から決算期を外すことで、決算業務の効率化も可能です。
また、増税の法改正があった場合には、対象開始時期からずらせば、増税を先送りにできることもあります。
ただ、減税の法改正の場合は、減税も先送りになりますが…
実際の会社の多くは4月から事業年度を開始して、決算期を3月としています。
これは、多くの他の会社と決算期を同じにすると、税務署の業務が多忙になることから、なるべく税務調査の対象から外れたいというのが理由の一つです。
決算期を下手な時期に設定すると、税務調査の対象となる可能性が高まると、多くの会社が考えているのです。
しかし、個人より法人の方が、税務調査を受ける確率はアップしちゃいます。
私の場合は、個人事業主の12月決算で、全く問題を感じていません。
33、法人成りのメリット?、事業を売却できる。
株式会社を設立すれば、株式を売却するだけで、事業そのものを売却できます。
個人事業主が事業そのものを売却するには、資産の名義変更や、借入金の切り替え手続きなど、多くの事務処理が必要です。
株式会社であれば、資産は会社名義なので、面倒な名義変更などは不要で、簡単に事業を売却できます。
事業売却や株式上場を考えているのであれば、法人成りの時の会社形態は、株式会社がいいでしょう。
私は、事業売却などは、今のところ全く考えていません。
ネットで内職する、私のスペック
これが、個人事業主である私のスペックです。
私のスペック紹介
- ネットで内職する主婦
- 夫は会社員
- 子供は小学生
- 青色申告する個人事業主
- 本業は主婦と思っている。
- 誰も雇用していない。
- クラウドソーシングで外注だけ。
夫の扶養に入りながらネットで内職を始め、収入が増えたので確定申告、そして青色申告、さらに収入が増えて夫の扶養から外れました。
仕事は、私一人だけでやっていて、誰も雇用していません。外注化が必要な作業は、クラウドソーシングを活用しているので、今後も私は直接人を雇用する予定はありません。
まとめ、会社設立のメリットとデメリット
私は、年収2,000万円が法人成りの目安かなって思っています。
法人成りして会社を設立すると。
- 節税できる反面、負担が増える費用もある。
- 事務業務が面倒になる。
- 訴訟リスクや責任からは逃げられない。
- 細かいメリットが活用できるかは、個人の状況による
消費税が2年間免除され、それだけで元が取れるなんて、無責任な情報もあります。
会社設立のサポートを、ビジネスにする人達の意見を、鵜呑みにしないよう注意しましょうね。
私の場合は、会社設立のこの辺が気になっています。
- 法人成りで、会計や税制、銀行や法務局への事務手続きの負担が増えるので、個人事業主のままが楽。
- 法人成りで、健康保険、年金の負担が増えるので、個人事業主のままがお得。
- 法人成りで、税務調査の対象になる確率アップが嫌。
年収2,000万円で法人成りってことは、このままずっと私は個人事業主ってことですね。笑
これで私は青色申告しています。
たくさん税金払うの好きですか?