青色申告・確定申告

所得税と住民税、青色申告特別控除と青色事業専従者給与の法律的根拠を説明します。

個人事業主が節税できる、2つの制度の法律的な根拠をまとめました。

所得税と住民税が節税できる2つの制度

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者への給与

個人事業主の所得税と住民税の、節税に活躍してくれる2つの制度の、法律的な根拠をまとめました。

所得税、青色事業専従者の給与を必要経費とする法律的な根拠

所得税法の第22条、第27条、第57条が根拠です。

所得税の「課税標準」とは、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額です。
これは、所得税法の第22条第1項の規定です。

「総所得金額」とは、事業所得や給与所得、不動産所得などの合計額です。
これは、所得税法の第22条第2項の規定です。

「事業所得」とは、事業から生じる総収入金額から必要経費を控除した金額です。
これは、所得税法の第27条の規定です。

「青色事業専従者への給与」は、条件を満たせば、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入します。
これは、所得税法の第57条の規定です。

つまり、青色事業専従者への給与を必要経費とするのは、所得税法の中で決められています。

受け取る側の専従者にとっては、給与所得になります。

受け取る家族にとっては、給与になります。

ちなみに、支払う側の事業主にとっては、事業所得の必要経費ですが、受け取る側の青色事業専従者にとっては、事業所得じゃなく給与所得です。
これも、所得税法の第57条の規定です。


これで私は青色申告しています。

所得税、青色申告特別控除の法律的な根拠

租税特別措置法の第25条の2が根拠です。

事業所得の金額には、租税特別措置法の第25条の2の特例があります。
租税特別措置法の第25条の2では、事業所得の金額は、所得税法第27条の事業所得の金額から、青色申告特別控除を、控除した後の金額が、事業所得の金額とする、と決められています。

この第25条の2では、事業所得の他にも、青色申告特別控除が受けられる所得の種類が決められています。
65万円の特別控除は、不動産所得と事業所得の2種類、10万の特別控除は不動産所得と事業所得と山林所得の3種類です。

また、租税特別措置法の第25条の2の中では、青色申告特別控除が「必要経費」という言葉は使われていません。
青色申告特別控除は、「必要経費」ではないけど、事業所得の計算で差し引ける「控除」です。

それに対し、所得税法57条で青色事業専従者への給与は、必要経費に算入すると書かれています。

必要経費ではないけど、計算で差し引けるのが、青色申告特別控除です。

所得税法と租税特別措置法

租税特別措置法は、国の税金の特例をまとめた法律です。
青色申告特別控除は、この租税特別措置法で決められています。

所得税法ではなく、租税特別措置法で決められている「青色申告特別控除」の制度は、所得税の通常ルールではなく、特別ルールなんですね。


これで私は青色申告しています。

住民税、青色申告特別控除と青色事業専従者給与の法律的根拠

地方税法の第32条が根拠です。

住民税の課税標準は所得税と同じで、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額であると、地方税法の第32条第1項で規定されています。

さらに、その課税標準は、それぞれ「所得税法」「その他の所得税に関する法令」の規定による所得税法第22条第2項又は第3項の総所得金額の計算の例によって算定する、と地方税法第32条第2項に規定されています。

つまり、総所得金額は、所得税の計算でも、住民税の計算でも同じってことです。

総所得金額が同じ、これがポイントです。

住民税も、所得税と同じと、決められています。

所得税の事業所得の計算では、青色申告特別控除も、青色事業専従者への給与も、差し引いた後が、事業所得の金額になります。そして、総所得金額は、事業所得や給与所得、不動産所得などの合計額です。

つまり、総所得金額とは、青色申告特別控除も、青色事業専従者への給与も、差し引いた後の金額になります。
所得金額は、所得税の計算でも、住民税の計算でも同じです。

このことから、住民税の計算でも、青色申告特別控除も、青色事業専従者への給与も、差し引いて計算できることになります。

まとめ

個人事業主の節税では、2つの制度を上手に活用しましょう。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者への給与

所得税と住民税の所得を減らし、そして税金を減らしてくれる、この2つの制度の、法律的な根拠をまとめました。

住民税の課税標準の計算では、所得税の課税標準の計算で認められている、青色申告特別控除と青色事業専従者給与はもちろん、一括償却や即時償却などの減価償却の特例も、所得税と同様に準用されて、認められます。
ただし、課税標準を算出後の金額から控除される、扶養控除などの各種の所得控除は、所得税と住民税では、適用される控除の種類や金額が違います。

個人事業主の所得税と住民税の節税の参考にしてください。

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<参考法令>

地方税法(抜粋)

(所得割の課税標準)
第32条 所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 前項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額は、この法律又はこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、それぞれ所得税法その他の所得税に関する法令の規定による所得税法第二十二条第二項又は第三項の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算の例によつて算定するものとする。

所得税法(抜粋)

(課税標準)
第22条 居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額とする。
一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得の金額の計算)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額


これで私は青色申告しています。


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