青色申告のメリット

国民健康保険の保険料計算、青色申告特別控除は反映?、青色事業専従者給与は?

青色申告特別控除は、国民健康保険料に、反映されます。

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国民健康保険の保険料計算

根拠法令でしっかり確認する。

国民健康保険料、計算方法をしっかり確認してみる。

国民健康保険の保険料の計算でも、売上から、「必要経費」は差し引けるのか?
「青色申告特別控除」は、国民健康保険の保険料の計算でも反映されるのか?
「青色事業専従者への給与」は、国民健康保険の保険料の計算でも、必要経費になるのか?

ここでは、ちょっと難しい法律の話ですが、曖昧な情報ではなく、それぞれの根拠となる法律や条例などを、しっかり紹介します。

まずは結論、国民健康保険の保険料の計算方法

青色申告特別控除もOK、青色事業専従者給与もOK。

  • 売上収入から、必要経費を差し引ける。
  • 青色事業専従者給与は、差し引ける。
  • 青色申告特別控除は、差し引ける。
  • 各種所得控除は、基礎控除だけが差し引ける。

つまり、国民健康保険の保険料の計算では、青色申告特別控除も、青色事業専従者への給与も反映されて、それだけ保険料は安くなります。
青色申告特別控除も、青色事業専従者給与も、所得税・住民税の節税だけじゃないんです。

保険料の計算方法は、何度も変更されています。

何度も変わって、ネットで検索しても、いつの計算方法かわからない。

実は、以前は、青色事業専従者給与などは、国民健康保険料計算の総所得金額から、差し引けませんでした。
しかし、今では控除できるようになっています。

国民健康保険の保険料の計算方法は、時代とともに、いろいろ変わっているんです。

ネットで調べても、果たして今の現行制度なのか、以前の制度なのか、わからない情報が多くあります。
しっかり、根拠法令を確認して、正確な情報を知っておきましょう。

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国民健康保険の保険料の仕組み

まず、国民健康保険の保険料の仕組みを理解しよう。

国民健康保険の制度自体は、日本中で基本的に同じ。
しかし、支払う保険料の金額は、住んでいる地域で大きく違います。

3つの保険料区分、医療分・支援分・介護分

国民健康保険の保険料には、3つの区分があります。

  • 「医療分」、医療についての保険料
  • 「支援分」、後期高齢者の医療を支援する保険料
  • 「介護分」、高齢者の介護についての保険料

国民健康保険の保険料には、この3つの区分があります。
介護分は、年齢が40歳以上64歳未満の人が保険料を支払います。

医療分とは、病院などで支払う医療費の保険です。
全ての加入者が支払い、保険の適用を受けることができます。

支援分とは、75歳以上の後期高齢者の医療を支援する保険料です。
全ての加入者が支払い、75歳以上が保険の適用を受けます。
若い人でも、将来75歳以上になった時に、保険が適用になります。

介護分とは、高齢者の介護の保険で、要介護状態となった時に、介護サービスが受けられます。
40歳以上65歳未満までの加入者が保険料を負担します。
65歳以上になると、介護保険の第1号被保険者となって、国民健康保険とは別に、介護保険料を支払います。

4つの保険料の方式、均等割・所得割・平等割・資産割

支払う保険料には、4つの種類があります。

  • 「均等割」、加入者1人の定額の保険料
  • 「所得割」、所得に応じた保険料
  • 「平等割」、1世帯の定額の保険料
  • 「資産割」、固定資産税に応じた保険料

国民健康保険の保険料には、4つの賦課方式があり、「世帯単位」で保険料が決まります。

上限額が決まっていて、所得が多くても、どこまでも保険料が多くなるってことはありません。
お金持ちの方にとっては安心ですね。

均等割とは?

加入者1人の定額の保険料です。
収入のない子供であっても、国民健康保険に加入していると、1名分、この均等割を支払います。
両親と小学生2名の4人家族では、4人分の均等割がかかります。

所得割とは?

個人事業主にとって、この所得割が、保険料を節約するポイントです。

前年の所得に応じた保険料です。
所得が多ければ、それだけ保険料が高くなります。

収入のない子供などは、所得割はかかりません。
個人事業主が、事業の必要経費を増やして、国民健康保険の保険料を安くする時には、この所得割の金額が安くなります。

平等割とは?

1世帯あたりに定額の保険料がかかるのが、平等割です。

1人暮らしの1人世帯でも、6人家族でも、この平等割の1世帯の金額は同じです。
住んでる自治体によっては、平等割がない地域もあります。

資産割とは?

固定資産税に応じた保険料が、資産割です。

資産割の制度がない、自治体もあります。
資産割額=(固定資産税)x(資産割料率)

固定資産税を支払わない世帯は、資産割はかかりません。

住んでる自治体の区域内にある固定資産税だけが対象で、それ以外の自治体に所有する固定資産があっても、保険料には反映されません。

また、自動車を所有する場合などは、事業の会計帳簿などでは固定資産ですが、自動車に固定資産税はかからないので、この資産割の対象外です。
会計上での固定資産ではなく、税法上での固定資産ってことですね。

売上収入から、必要経費を差し引ける根拠

必要経費を差し引ける根拠です。

法律と条例、国民健康保険法と国民健康保険税条例

国民健康保険のことを決めている法律が、国民健康保険法です。
しかし、国民健康保険法の中では、保険料は決められていません。

実際の保険料を決めているのは、住んでいる市町村の条例です。
それぞれの地域に「国民健康保険税条例」と言ったものがあるんです。

保険料という呼び名を使っていますが、実はほとんどの地域で、保険料ではなく本当は税金なんです。

国民健康保険の保険料は、自治体の国民健康保険税条例で決まっています。

その国民健康保険税条例の中では、保険料の収入に比例する部分である、所得割については、総所得金額などの合計額に料率を乗じる規定があります。

保険料の所得割は、「地方税法第314条の2第1項に規定する総所得金額」などの合計額から、「第314条の2第2項の規定による控除」をした後の総所得金額などの合計額に、所得割の料率を乗じて算定すると、条例では決められています。

「地方税法第314条の2第1項に規定する総所得金額」とは、住民税所得割の課税標準のことです。
住民税の計算でも、売上収入から、必要経費を差し引いて、課税標準を計算しています。

つまり、国民健康保険の保険料の所得割の計算では、収入から必要経費を差し引けることになります。

差し引ける控除が、基礎控除だけの根拠

基礎控除だけを、差し引ける根拠です。

ここでのポイントは、「総所得金額」から控除するのは、「第314条の2第2項の規定による控除」だけってことです。

国保の所得割の計算式

国民健康保険の所得割保険料の計算式
((総所得金額)ー(控除))x(料率)

地方税法の住民税の規定が、国民健康保険の保険料計算の根拠法令

地方税法の第314条の2第1項では、住民税所得割の課税標準から、各種の所得控除ができることが、決められています。
また、第314条の2第2項では基礎控除額33万円、第314条の2第3項では寡婦控除、第314条の2のその他の項でもいろんな控除が決められています。

国民健康保険の保険料の計算式では、
(総所得金額)ー(控除)
=(第314条の2第1項)ー(第314条の2第2項)

所得割保険料の計算、控除は基礎控除だけ。

地方税法第314条の2第1項に規定する総所得金額とは、住民税と同じ計算方法の、総所得額のこと。
そして、第314条の2第2項の規定による控除とは、基礎控除額33万円のこと。
残念ですが、第314条の2の中にある、その他の、寡婦控除、障害者控除、生命保険料控除などは、控除できません。

つまり、国民健康保険の保険料の所得割の計算は、「総所得金額」から「基礎控除」だけを差し引いだ金額に、料率を掛けることになります。

青色事業専従者の給与が差し引ける根拠

青色事業専従者の給与を差し引ける根拠です。

国民健康保険の保険料計算式の「総所得金額」は、地方税法の第314条の2第1項の規定の総所得金額を使います。
つまり、住民税の総所得金額と同じってことでした。

この地方税法第314条の2第1項の総所得金額は、住民税の課税標準を規定した第313条で、その内容が決められています。
第313条第3項で、青色事業専従者の給与が、所得税と同じく、住民税でも控除が認められています。
ちなみに、第313条第4項では、白色申告の事業専従者の控除が認められています。

そのため、国保の計算の「総所得金額」にも、第313条第3項と第4項が、住民税と同じく適用されます。

つまり、国民健康保険の所得割保険料の計算で使う総所得金額は、青色事業専従者の給与を必要経費として差し引いた後の、総所得金額になります。

白色申告の事業専従者控除も、国保の計算で差し引けます。

白色の専従者控除も差し引けます。

地方税法第313条第4項で規定される、白色申告の事業専従者控除も、住民税と同じく、国保の計算でも適用されます。

青色事業専従者給与は、専従者の国保の保険料計算で給与所得になる。

専従者本人は、専従者給与によって保険料は上がります。

住民税の計算方法では、地方税法第313条第3項の中で、青色事業専従者として給与の支払いを受けた人は、その給与を給与所得として、住民税を計算すると規定されています。
そのため、国保の計算でも、住民税を同じ方法で計算します。

国民健康保険の保険料計算では、青色事業専従者として給与の支払いを受けた人は、その給与を給与所得として、保険料を計算します。

白色申告の事業専従者控除は、専従者の国保の保険料計算で給与所得になる。

地方税法第313条第5項では、住民税の計算で、白色申告の事業専従者控除は、事業専従者の給与所得とみなす規定があります。

国民健康保険の保険料計算では、白色申告の事業専従者控除を受けた人は、その給与を給与所得として、保険料を計算します。

青色申告特別控除が差し引ける根拠

青色申告特別控除を差し引ける根拠です。

国民健康保険の保険料計算式の「総所得金額」は、地方税法の第314条の2第1項の規定の総所得金額を使い、住民税の課税標準を規定した第313条で、その内容が決められています。

地方税法の第313条第1項では、住民税の所得割の課税標準が定められています。
住民税の課税標準は所得税と同じで、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額です。
その課税標準は、第313条第2項の規定により、それぞれ「所得税法」「その他の所得税に関する法令」の規定による所得税法第22条第2項又は第3項の総所得金額の計算の例によって算定する、となっています。

所得税法とは、所得税のことを決めている法律です。
その他の所得税に関する法令としては、租税特別措置法などがあります。

青色申告特別控除は、租税特別措置法第25条の2

所得税法の第22条第1項で、所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額、山林所得金額と決められています。
所得税法の第22条第2項では、総所得金額は、事業所得や給与所得、不動産所得などの合計額と決められています。
所得税法の第22条第3項は、退職所得金額と山林所得金額についての規定です。

所得税法の第27条で、事業所得の金額は総収入から必要経費を控除すると決められています。
また、所得税法の第26条は、不動産所得の金額です。

事業所得の金額には、租税特別措置法の第25条の2の特例があります。
租税特別措置法の第25条の2では、事業所得の金額は、所得税法第27条の事業所得の金額から、青色申告特別控除を、控除した後の金額が、事業所得の金額とする、と決められています。

青色申告特別控除と国民健康保険料

以上のまとめです。

  • 事業所得は、まずは総収入から必要経費を控除(所得税法第27条)
  • さらに青色申告特別控除を控除した後が、事業所得の金額(税特別措置法第25条の2)
  • 事業所得や給与所得などの合計が、総所得金額(所得税法第22条第2項)
  • この総所得金額を、住民税でも使う。(地方税法第313条第2項)
  • 住民税の計算では、この総所得金額から各種控除できる。(地方税法第314条の2第1項)
  • 国民健康保険料の所得割は、この総所得金額から計算。(国民健康保険税条例)

つまり、国民健康保険の所得割保険料の計算で使う総所得金額は、青色申告特別控除を差し引いた後の、総所得金額になります。

結論はこれ、国民健康保険の保険料の計算方法

国民健康保険料の計算、結論はこれです。

  • 収入から、必要経費を差し引ける。
  • 青色事業専従者給与は、差し引ける。
  • 青色申告特別控除は、差し引ける。
  • 各種所得控除は、基礎控除だけが差し引ける。

つまり、国民健康保険の保険料の計算では、青色申告特別控除も、青色事業専従者への給与も反映されて、それだけ保険料は安くなります。

しかし、いろんな所得控除の中で使えるのは、基礎控除だけ。
残念ですが、個人事業主の節税テクニックの、小規模事業共済や確定拠出年金などは、国民健康保険料では通用しないんです。

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