帳簿・勘定科目・複式簿記

個人の複式簿記、利子や手数料、銀行預金の仕訳の具体例

個人事業主の銀行口座の仕訳、利息や手数料など、12の具体例です。

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銀行口座と現金、入金と出金の仕訳

具体例1

事業用の現金3万円を、銀行の事業用の普通預金口座に預けた。

売上など事業資金を、銀行口座へ入金する仕訳です。

借方

貸方

普通預金 30,000

現金 30,000

・資産の部、普通預金が増える。
・資産の部、現金が減る。

現金を銀行口座に預けるということは、銀行預金が増えて、現金が減るという取引になります。
左の借方に「普通預金」の勘定科目、右の貸方に「現金」の勘定科目です。

この取引は、自分のお金を動かしているだけで、利益とは関係のない取引です。

こんな取引でも、帳簿に記録しておかないと、帳簿上での銀行預金の残高と、実際の銀行預金残高が合わなくなってしまいます。

現金の勘定科目

「現金」の勘定科目は、資産の部の「現金」の勘定科目です。

この現金の勘定科目には、紙幣や硬貨の現金そのものの他に、小切手や郵便為替証書などの通貨代用証券を含みます。
通貨代用証券は、銀行や郵便局などの金融機関に持っていけば、すぐに通貨に換えられるので、帳簿では現金と同じ扱いになるんです。

銀行口座の勘定科目

銀行口座の勘定科目は、資産の部の勘定科目です。

青色申告決算書では、銀行口座の勘定科目として、資産の部に「当座預金」、「定期預金」、「その他の預金」の3つが、初めから用意されています。
銀行の普通預金の勘定科目は、「その他の預金」の勘定科目になります。

会計アプリで普通預金の勘定科目は、その他の預金の補助科目として設定します。

A銀行の普通預金口座、B銀行の普通預金口座、C銀行の普通預金口座、この3つの普通預金口座を事業用の銀行口座として使っていれば、この3つの普通預金口座の合計が、青色申告決算書の「その他の預金」になります。

具体例2

銀行の事業用普通預金口座から、現金5万円を事業資金として引き出した。

事業資金を現金で引き出す時の仕訳です。

借方

貸方

現金 50,000

普通預金 50,000

・資産の部、現金が増える。
・資産の部、普通預金が減る。

銀行口座から現金をおろすということは、現金が増えて、銀行預金が減る取引です。
左の借方に「現金」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。

銀行預金の残高の、帳簿での金額と実際の金額とを合わせるため、預金の預け入れと引き下ろしは、忘れずに帳簿に仕訳しましょう。


これで私は青色申告しています。

銀行口座間の振込、口座の移動の仕訳

具体例3

A銀行の事業用の普通預金口座から5万円を、B銀行の事業用の普通預金口座へ振り込んだ。

事業資金の銀行口座を移動させた時の仕訳です。

借方

貸方

普通預金B 50,000

普通預金A 50,000

・資産の部、普通預金Bが増える。
・資産の部、普通預金Aが減る。

銀行間の振込処理の取引です。
どちらも自分の銀行口座であっても、仕訳は必ず行います。

左の借方には増加する「普通預金B」の勘定科目、右の貸方は減少する「普通預金A」の勘定科目です。

青色申告決算書での勘定科目は、普通預金は全て「その他の預金」に合計されます。
会計アプリでは、普通預金A、普通預金Bといった補助科目を設定して、勘定科目を追加します。

銀行の手数料がかかる取引の仕訳

具体例4

B銀行の事業用の普通預金口座から5万円を、C銀行の事業用の普通預金口座へ振込を行い、手数料が100円かかった。

銀行の振込手数料の仕訳です。

借方

貸方

普通預金C 50,000
雑費 100

普通預金B 50,100

・資産の部、普通預金Cが増える。
・資産の部、普通預金Bが減る。
・費用の部、雑費がかかる。

自分名義の銀行口座同士での資金移動の仕訳です。
銀行の振込には、通常、手数料がかかります。
銀行の振込手数料には、「雑費」を使います。

左の借方には、増加する「普通預金C」の勘定科目と、「雑費」の勘定科目です。
右の貸方は減少する「普通預金B」の勘定科目で、手数料を含む金額になります。

銀行手数料の勘定科目

「支払手数料」の勘定科目は、青色申告決算書にはないので、銀行の手数料は雑費を使います。

ただ、毎月必ず手数料が発生する場合などは、「支払手数料」という勘定科目を自分で追加しましょう。
雑費という勘定科目は、何に使った費用かわかりにくいので、なるべく使わない方がいいからです。

具体例5

事業用の普通預金口座から、事務所の家賃5万円を振込で支払い、手数料が100円かかった。

銀行振込での費用支払いの仕訳です。

借方

貸方

地代家賃 50,000
雑費 100

普通預金 50,100

・費用の部、地代家賃を支払う。
・資産の部、普通預金が減る。
・費用の部、雑費がかかる。

銀行振込による、費用の支払いの例です。
事務所の家賃の支払いは、青色申告決算書にある地代家賃の勘定科目を使います。
左の借方には「地代家賃」と「雑費」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。

この具体例の家賃は、全額が事業の経費ですが、自宅と事務所が兼用の場合は、家賃と手数料の両方を家事按分して、事業割合だけを経費にします。


これで私は青色申告しています。

銀行預金の利息が振り込まれる取引の仕訳

具体例6

銀行の事業用の普通預金口座に、100円利子がついた。

事業用の銀行口座の利子は、事業主借の勘定科目です。

借方

貸方

普通預金 100

事業主借 100

・資産の部、普通預金が増える。
・資本の部、事業主借が増える。

銀行の預金口座に、利子が振り込まれた場合の仕訳です。
左の借方には「普通預金」の勘定科目、右の貸方に「事業主借」の勘定科目です。

個人事業主では、銀行利息の受けとりは、事業主のプライベートな収入として取り扱います。
事業での収入ではないので、「事業主借」の勘定科目で仕訳します。

法人では違う仕訳になるので、注意が必要です。

事業主借の勘定科目

事業主借は、青色申告決算書の資本の部の勘定科目です。

法人では、銀行の利息は、受取利息の勘定科目を使いますが、個人事業主の場合は事業主借の勘定科目を使います。
簿記の参考書などは法人のことを書いている場合がほとんどなので、間違って覚えないように注意しましょう。

個人事業主の銀行利息を、資本の部の事業主借に仕訳するということは、事業主が出資したと考えるってことになります。
銀行の利息は、事業の本業とは無関係なので、事業主のプラーベートなこととして、取り扱います。

具体例7

事業用の定期預金5万円が満期解約になって、利子を含む50,500円が事業用の普通預金に入金された。

定期が満期になった場合の仕訳です。

借方

貸方

普通預金 50,500

定期預金 50,000
事業主借 500

・資産の部、普通預金が増える。
・資産の部、定期預金が減る。
・資本の部、事業主借が増える。

定期預金が満期になると、利息とともに元金が普通預金に入金されます。
この時の、利息分は事業主借として仕訳します。

左の借方には「普通預金」の勘定科目、右の貸方に「定期預金」と「事業主借」の勘定科目です。

銀行の利子は、普通預金でも、定期預金でも、事業主借の勘定科目です。

具体例8

銀行の事業用の普通預金に、20円の利子がついて、そのうち4円が税金として引かれた。

銀行利息に、税金の内訳が記帳された時の仕訳です。

借方

貸方

普通預金 20
事業主貸 4

事業主借 20
普通預金 4

・資産の部、普通預金が20円増える。
・資本の部、事業主借が20円増える。
・資産の部、普通預金が4円減る。
・資産の部、事業主貸が4円増える。

このケースは、銀行口座で16円の利子がついたって内容と取引です。
預金通帳に16円の入金を1行で結果だけ記録する銀行もあれば、利息20円の入金と4円の税金支払いの2行に分けて記録する銀行もあり、銀行によって取扱が違います。

利息部分の仕訳は、左の借方に「普通預金」の勘定科目、右の貸方に「事業主借」の勘定科目です。
税金部分の仕訳は、左の借方には「事業主貸」の勘定科目がきて、右の貸方には「普通預金」です。

この場合は、結果として普通預金に20円ー4円=16円の利子がついたことになります。
たとえ、通帳が利息と税金の2行で書かれていても、仕訳は差額だけでも構いません。

借方

貸方

普通預金 16

事業主借 16

このように、通帳は、利子と税金が2段書きでも、仕訳は1つにまとめても大丈夫です。

事業主貸の勘定科目

事業に関係のない個人事業主のプラーベートなことへの支払いには、事業主貸の勘定科目を使います。

事業主貸の勘定科目は、青色申告決算書では資産の部です。
年末の決算終了後に、資本の部の事業主借の勘定科目と差し引きされます。

個人事業主は、いつでも事業用の現金や銀行口座のお金を、自由に使ってもOKなんです。
そんな事業と無関係の出費は、すべてこの事業主貸の勘定科目で処理して、会計上で事業とプラーベートを切り離しています。


これで私は青色申告しています。

事業ではないプラーベートな支払いの仕訳

具体例9

事業用の普通預金から、生活費である自宅の水道代が1万円引き落とされた。

事業用の口座から、生活費を支払った時の仕訳です。

借方

貸方

事業主貸 10,000

普通預金 10,000

・資産の部、普通預金が減る。
・資産の部、事業主貸が増える。

個人事業主では、事業用の銀行口座から、プライベートの支出をすることがあります。
事業とは関係のない費用の支出は、すべて事業主貸の勘定科目にします。

左の借方には「事業主貸」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。

事業で使った水道代なら、もちろん水道光熱費として経費にできます。

具体例10

事業用の普通預金から、プライベートな株式投資の資金10万円と手数料2千円が引き落とされた。

事業主の個人的な投資での仕訳です。

借方

貸方

事業主貸 102,000

普通預金 102,000

・資産の部、普通預金が減る。
・資産の部、事業主貸が増える。

事業ではない株式投資にかかる費用は、プライベートなことなので、すべて事業主貸の勘定科目です。
手数料でもなんでも、プライベートな出金は事業主貸に仕訳します。

左の借方には「事業主貸」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。


これで私は青色申告しています。

銀行からお金を借りた時、返した時の仕訳

具体例11

銀行から事業用の資金100万円を借り入れた。

事業用の銀行口座に、借入金が入金された時の仕訳です。

借方

貸方

普通預金 1,000,000

借入金 1,000,000

・資産の部、普通預金が増える。
・負債の部、借入金が増える。

銀行から資金を借りた時の仕訳です。いわゆる借金です。
銀行からの借り入れは、お金は増えますが、それと同額の負債が増えます。
そのため、収益ではプラスマイナスゼロです。

左の借方に「普通預金」の勘定科目、右の貸方に「借入金」の勘定科目です。
この仕訳を行っても、費用も収益も発生せず、年間の損益には全く影響がありません。

借入金の勘定科目

銀行からの借り入れなど、借金があるときは、「借入金」の勘定科目を使います。

借入金は、青色申告決算書の「負債の部」の勘定科目で、未払いの代金とは区別します。
未払いの商品代金は買掛金、商品以外を購入した未払い費用は未払金の勘定科目を使います。

具体例12

銀行に事業での借入金を10万円返済し、内訳は元金9万円と利息1万円だった。

テキスト借入金と利息の返済の仕訳です。

借方

貸方

借入金 90,000
利子割引料 10,000

普通預金 100,000

・負債の部、借入金が減る。
・費用の部、利子割引料がかかる。
・資産の部、普通預金が減る。

借入金を返済した時の仕訳です。
借入金の元金を返済しても、経費は発生しませんが、利息の返済は利子割引料の勘定科目で事業の経費になります。

左の借方に借入金と「利子割引料」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。
このとき、利子割引料の1万円が、費用として計上されます。

借金してお金が増えても、収益は増えません。
借金を返しても、費用は増えません。

借金の利息を返済した時だけ、利子割引料として費用が発生します。

利子割引料の勘定科目

借金の利息の返済などは、利子割引料の勘定科目です。
利子割引料は、青色申告決算書の費用の部の勘定科目です。

利子割引料の「割引」とは、手形の割引という意味ですが、手形で決済する個人事業主はまれですよね。

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これで私は青色申告しています。


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