帳簿・勘定科目・複式簿記

個人の複式簿記、費用の支払いの仕訳、後払い、前払、カード払い、銀行引落し

個人事業主の費用の支払い、帳簿の仕訳、10の具体例です。

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費用の支払いの仕訳

事業の経費の支払い、帳簿の仕訳を、具体例で紹介します。

仕訳の具体例1

コピー用紙を、現金500円で購入した。

借方

貸方

消耗品費 500

現金 500

  • 費用の部、消耗品費がかかる。
  • 資産の部、現金が減る。

事業に必要な消耗品を、現金で購入した時の仕訳です。
左の借方には「消耗品費」の勘定科目、右の貸方に「現金」の勘定科目です。

消耗品費以外でも、現金で買い物した場合には、この仕訳を何度も使います。
このパターンの仕訳が、費用の支払いの基本です。

消耗品費の勘定科目

事務用品などを購入した時は、消耗品費の勘定科目を使います。
プリンターインクや文房具など、使うとなくなるものが、消耗品費です。
また、10万円未満の物、使用期間が1年未満の物なども、消耗品費になります。
パソコンを購入しても、10万円未満なら消耗品費になります。


これで私は青色申告しています。

前払いの、費用の支払いの仕訳

事業の経費を前払いした時の、帳簿の仕訳の具体例です。

仕訳の具体例2

パソコンを予約注文し、前金で現金8万円支払い、翌月に受け取った。

注文した時の仕訳

借方

貸方

前払金 80,000

現金 80,000

  • 資産の部、前払金が増える。
  • 資産の部、現金が減る。

受け取った時の仕訳

借方

貸方

消耗品費 80,000

前払金 80,000

  • 費用の部、消耗品費がかかる。
  • 資産の部、前払金が減る。

先払いで購入した費用の仕訳です。
パソコンを購入していますが、価格が10万円未満なので、消耗品費の勘定科目を使います。
なお、10万円未満という金額は、原則として、消費税込みの金額です。

商品を予約・注文して、前金を支払った時には、左の借方には「前払金」の勘定科目、右の貸方に「現金」の勘定科目です。
この時点では、現金が減って、帳簿上の前払金の資産が増えるだけで、費用は発生していません。

商品を受け取った時には、左の借方には「消耗品費」の勘定科目、右の貸方には「前払金」の勘定科目です。
商品を受け取ったので、前払金を清算して、この時点で消耗品費の費用が発生しています。

前払金の勘定科目

内金、前金、手付金、申込金、予約料金など、あらかじめ商品を受け取る前に、代金の一部や全部を支払うことがあります。
その時に使う勘定科目が、前払金の勘定科目です。

前払金は、青色申告決算書の資産の部の勘定科目です。
前渡金とも呼ばれますが、青色申告決算書では、前払金という名称を使います。

仕訳の具体例3

7月に事務所の火災保険2年分、4万円を振り込んだ。

複数年にわたる費用の支払いです。

借方

貸方

損害保険料 10,000
前払金 30,000

普通預金 40,000

  • 費用の部、損害保険料がかかる。
  • 資産の部、前払金が増える。
  • 資産の部、現金が減る。

2年分の火災保険料を支払った時の仕訳です。
火災保険の保険料は、青色申告決算書では損害保険料の勘定科目を使います。

7月に支払ったので、今年の保険料は7月から12月までの半年分です。
4万円のうち、1万円が今年の費用になります。
そして、2万円が翌年、1万円が翌々年の経費になります。

翌年以降の経費の3万円は、前払金の勘定科目で会計処理します。
左の借方には損害保険料と前払金の勘定科目、右の貸方には普通預金の勘定科目です。
この時点では、1万円だけ費用が発生しています。

翌年の仕訳はこうなります。

借方

貸方

損害保険料 20,000

前払金 20,000

左の借方には「損害保険料」の勘定科目、右の貸方には「前払金」の勘定科目です。
これで、前払金を清算して、2万円分の費用が発生します。
翌々年には、1万円分の同じ仕訳をすることで、残りの前払金を清算して、1万円分の費用が発生します。

前払金、前払費用の勘定科目

ここ具体例の仕訳は、先払いの火災保険料、「前払金」の勘定科目を使っています。

保険料など継続した期間の経費で、一部の期間の費用が翌年以降の経費となる場合は、「前払費用」の勘定科目が一般的に使われます。

「前払金」は、まだ商品を受け取っていない場合や、まだサービスを全く受けていない場合に使われる勘定科目です。
この2つの勘定科目には、厳密には違いがあります。

しかし、青色申告決算書には、前払金の勘定科目は、はじめから書かれていますが、前払費用の勘定科目はありません。
前払費用を多く使う事業であれば、自分で勘定科目を追加します。

あまり前払費用の勘定科目を使わない個人事業主であれば、ここでの仕訳の具体例のように、前払費用の勘定科目は、前払金に含めて使っても問題ありません。
法人と違って、個人事業主の場合は、青色申告決算書にある勘定科目を、なるべく使ったほうが、シンプルになって第三者が見た時にわかりやすい帳簿になります。


これで私は青色申告しています。

後払いの、費用の支払いの仕訳

事業の経費を、後払いで支払う仕訳の具体例です。

仕訳の具体例4

取引先との飲食代をツケにして、翌月に現金2万円を払った。

飲食をした時の仕訳

借方

貸方

接待交際費 20,000

未払金 20,000

  • 費用の部、接待交際費がかかる。
  • 負債の部、未払金が増える。

飲食代を支払った時の仕訳

借方

貸方

未払金 20,000

現金 20,000

  • 負債の部、未払金が減る。
  • 資産の部、現金が減る。

いわゆるツケで飲食した時の仕訳です。
取引先が同席の飲食では、接待交際費の勘定科目で、経費にできます。

飲食した時点で、代金の支払いはまだでも、費用が発生します。
飲食した時の仕訳は、左の借方には「接待交際費」の勘定科目、右の貸方には「未払金」の勘定科目です。
この時には、まだ代金は支払っていませんが、未払金の負債が発生すると同時に、接待交際費の費用が確定します。

そして、代金を支払った時には、左の借方には「未払金」の勘定科目、右の貸方には「現金」の勘定科目です。
この時の仕訳では、未払金の負債を解消するだけです。

未払金の勘定科目

未払金は、後払いで購入した場合に使う勘定科目です。
ただし、販売目的の商品を後払いで購入した時は、買掛金の勘定科目を使います。

同じ後払いでの購入でも、販売目的の商品以外で使うのが未払金、販売目的の商品だけは買掛金、この違いがあります。
未払金は、青色申告決算書の負債の部の勘定科目です。
もちろん、買掛金も同じく負債の部です。

接待交際費の勘定科目

取引先が同席した飲食代は、接待交際費の勘定科目を使います。
取引先への手土産や、お祝い金、お中元やお歳暮などの贈り物、飲食代などが、接待交際費です。

法人では、年間の接待交際費に上限がありますが、個人事業主の場合は、年間の接待交際費に上限はありません。
いくら使っても、事業の経費にできちゃいます。
ただし、使いすぎには注意しましょうね。

仕訳の具体例5

旅行代理店で出張のチケットを受け取り、出張が終わって、翌月に5万円を振り込み、振込手数料が200円かかった。

チケットをもらった時

借方

貸方

旅費交通費 50,000

未払金 50,000

  • 費用の部、旅費交通費がかかる。
  • 負債の部、未払金が増える。

代金を振り込んだ時

借方

貸方

未払金 50,000
雑費 200

普通預金 50,200

  • 負債の部、未払金が減る。
  • 費用の部、雑費がかかる。
  • 資産の部、普通預金が減る。

後払いでの費用の支払いの仕訳です。
後払いでは、負債の部の「未払金」の勘定科目を使います。
出張の費用は、「旅費交通費」の勘定科目を使います。
銀行の振込手数料は「雑費」を使っていますが、「支払手数料」などの勘定科目を自分で追加していれば、そちらを使いましょう。

代金が未払いでも、チケットを受け取った時点で、負債が確定して、旅費交通費の費用が発生します。
この時の仕訳は、左の借方に「旅費交通費」の勘定科目、右の貸方に「未払金」の勘定科目です。

次に、代金を振り込んだ時の仕訳は、左の借方に「未払金」と「雑費」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。振込手数料がかかったので、費用の部の「雑費」が発生します。

旅費交通費の勘定科目

出張や移動にかかった費用は、旅費交通費の勘定科目を使います。
電車やバスなどの交通費、ホテルなどの宿泊料金などが、旅費交通費です。
自動車で移動した場合は、高速道路代やガソリン代、駐車場代も旅費交通費にして構いません。

銀行引落しでの、費用の支払いの仕訳

事業用の銀行口座から引き落としの場合の、仕訳の具体例です。

仕訳の具体例6

商品パンフレットを作成し、パンフ納品の翌月に、事業用銀行口座から代金8万円が引き落とされた。

受け取った時の仕訳

借方

貸方

広告宣伝費 80,000

未払金 80,000

  • 費用の部、広告宣伝費がかかる。
  • 負債の部、未払金が増える。

銀行口座引き落としの時の仕訳

借方

貸方

未払金 80,000

普通預金 80,000

  • 負債の部、未払金が減る。
  • 資産の部、普通預金が減る。

後払いの銀行口座引き落としの仕訳です。
銀行口座からの引き落としでも、後払いの振込支払いと、基本的に同じ仕訳になります。
商品を受け取った時点で、未払金の負債が確定し、費用が発生します。

商品パンフレットの作成は、「広告宣伝費」の勘定科目を使います。
作成したパンフレットを受け取った時には、左の借方に「広告宣伝費」の勘定科目、右の貸方に「未払金」の勘定科目です。
この時点で、広告宣伝費の費用が発生するので、未払金の負債を計上します。

次に、代金が銀行口座からの引き落とされた時の仕訳は、左の借方に「未払金」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。
この仕訳で、未払金の負債を清算しています。

広告宣伝費の勘定科目

広告宣伝費は、売上を増やす目的の、広告や宣伝の費用です。
商品チラシやパンフレットなどの作成や配布、不特定多数に配布する無料サンプル、商品名入りのボールペンなどの費用が、広告宣伝費です。

商品の販売増加だけでなく、会社のイメージ向上などが目的の費用でも、広告宣伝費の勘定科目を使います。


これで私は青色申告しています。

カード払いでの、費用の支払いの仕訳

事業用クレジットカードで支払う場合の、仕訳の具体例です。

仕訳の具体例7

プリンターを、事業用のクレジットカードで購入し、翌月に事業用銀行口座から代金4万円が引き落とされた。

購入した時の仕訳

借方

貸方

消耗品費 40,000

未払金 40,000

  • 費用の部、消耗品費がかかる。
  • 負債の部、未払金が増える。

代金引き落としの時の仕訳

借方

貸方

未払金 40,000

普通預金 40,000

  • 負債の部、未払金が減る。
  • 資産の部、普通預金が減る。

事業用のクレジットカードで事業の経費を支払った時の仕訳です。
カードを使って購入した時点では、費用が発生しますが、未払金の負債が増えるだけで、お金は減りません。

クレジットカード代金が、銀行口座から引き落とされる時に、実際のお金は減っています。
そのため、仕訳も2段階になります。

購入時点の仕訳は、左の借方に「消耗品費」の勘定科目、右の貸方に「未払金」の勘定科目です。
この時点で、費用が発生しています。

銀行口座引き落とし時点の仕訳は、左の借方に「未払金」の勘定科目、右の貸方に「普通預金」の勘定科目です。
ここで未払金の負債を清算します。

この仕訳は、事業用のクレジットカード、事業用の銀行口座での支払いの場合です。
クレジットカード払いでも、プライベート用のカードで支払い、引き落としの銀行口座もプライベート用ならば、違う仕訳になります。
プライベート用のカードの場合は、事業主借の勘定科目を使います。


これで私は青色申告しています。

生活費で立替えた、費用の支払いの仕訳

事業主の生活費で、事業の支払いを立て替えた場合の、仕訳の具体例です。

仕訳の具体例8

ボールペンを、生活費から立替えて100円で購入した。

借方

貸方

消耗品費 100

事業主借 100

プラーベートな生活費を使った時には、「事業主借」の勘定科目を使います。
事業用の現金の場合は、現金の勘定科目ですが、事業主の立替え払いでは、事業主借になります。

左の借方に「消耗品費」の勘定科目、右の貸方に「事業主借」の勘定科目です。

事業主借の勘定科目

事業主借は、個人事業主が事業用の費用を立て替えた時に使う勘定科目です。
個人事業主が事業への資金を提供した時にも、事業主借を使います。

逆に、個人事業主が事業用の資金を、個人的に使った場合は、事業主貸の勘定科目を使います。

自営業の個人事業主は、事業の利益であっても、最終的には一個人として、確定申告を行います。
そのため、事業の利益であっても、すべて自分のものにできますし、事業に資金提供して回収できなくても、すべて自己責任なのです。

仕訳の具体例9

通信費5千円を、プライベート用の銀行口座から振り込んだ。

借方

貸方

通信費 5,000

事業主借 5,000

プライベート用の銀行口座から支出した場合は、「事業主借」の勘定科目を使います。
事業用の口座と個人用の口座が区別できていないと、帳簿の金額が合わないので、必ず区別しましょう。

仕訳の具体例10

消耗品費3万円を、プライベート用のクレジットカードで購入した。

借方

貸方

消耗品費 30,000

事業主借 30,000

プライベート用のクレジットカードでの購入であれば、「事業主借」の勘定科目を使います。
カードでも、現金でも、プライベートの立替えの支払いなら、すべて事業主借で会計処理します。

プライベート用のカードでも、銀行口座からの引き落としは、後日になりますが、仕訳は1回だけです。
事業用のクレジットカードのように、一旦未払金で処理してから、2段階での仕訳は不要です。

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