よくある誤解、早めの減価償却は本当に得?、個人事業主は法人と違う。

   

個人事業主は、早めの減価償却で損することもあります。

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早めの減価償却で、個人事業主は、損することもある。

確かに、法人の場合は、早めの減価償却が基本的に得です。

減価償却を前倒しして、早期に多く償却すると、節税になるので得をすると、会計の本に書いています。
しかし、それは法人の話です。

個人事業主の場合は、得をするとは限りません。
逆に、早期に減価償却することで、損することもあります。

会計や節税の情報は、法人のことがメインです。
本やネットでも、個人事業主のことを正確に書いた情報は少ないのです。

なぜ法人と個人事業主で違うのか?

会社の法人税と、個人事業主の所得税、2つの仕組みが違うのが原因です。

法人と個人では、納める税金の種類が違います。
会社が納める税金は法人税で、個人事業主は所得税です。

法人の場合、法人税率は基本的に一定です。
それに対して、個人事業主の場合、所得税率は、所得が多くなれば税率が高くなる超過累進税率です。

法人税率が一定なので、赤字じゃなければ、法人では、いつ減価償却を経費にしても、節税額は同じ。
それなら、早めに節税する方が得って考えです。

それに対して、所得税率は、所得が多いほど税率が高くなるので、個人事業主では、所得が多い年に、減価償却を経費にした方が、節税できて得します。

法人税率は同じ、個人は所得が多い年に、税率が高くなる。


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具体例、早期の減価償却の効果、法人と個人を比較する。

個人と法人で、普通の償却と早期償却の、減価償却費を比較します。

早期償却と、普通の定額法を比較、個人事業主の場合

減価償却前の利益
  • 1年目、150万円
  • 2年目、400万円
  • 3年目、400万円
  • 4年目、400万円

この時の、1年目に、28万円のパソコンを2台、合計56万円の固定資産を購入した。

これが今回のモデルケースです。

即時償却の特例で1年目に全額を償却

個人事業主が、即時償却の特例を使った場合です。

30万円未満の固定資産なので即時償却の特例を使うと、1年目に56万円の全額が減価償却ができます。
減価償却後の利益と所得税は、

  • 1年目、94万円、所得税額47,000円
  • 2年目、400万円、所得税額372,500円
  • 3年目、400万円、所得税額372,500円
  • 4年目、400万円、所得税額372,500円

即時償却を選ぶと、4年間の所得税は、1,164,500円です。

定額法で4カ年で償却

個人事業主が、定額法で普通に減価償却した場合です。

定額法で4年間かけて毎年14万円の減価償却した場合です。
減価償却後の利益と所得税は、

  • 1年目、136万円、所得税額68,000円
  • 2年目、386万円、所得税額344,500円
  • 3年目、386万円、所得税額344,500円
  • 4年目、386万円、所得税額344,500円

普通の定額法を選ぶと、4年間の所得税は、1,101,500円です。

このケースでは早期償却の方が、トータルでは損している。

普通の定額法の方が、得しています。

特例の即時償却が、63,000円も損しています。
普通に定額法で償却した方が、63,000円も得なんです。

個人事業主の場合、早期償却の特例を使うと、その年だけは所得税が安くなります。
しかし、翌年以降は減価償却費がないので、定額法に比べて、逆に所得税が高くなる場合があります。

早期償却と、普通の定額法を比較、法人の場合

同じモデルケースで、法人も計算します。
減価償却前の利益
  • 1年目、150万円
  • 2年目、400万円
  • 3年目、400万円
  • 4年目、400万円

この時の、1年目に、28万円のパソコンを2台、合計56万円の固定資産を購入した。
法人税の実効税率は25%、均等割は同額なので計算から除外します。

即時償却の特例で1年目に全額を償却

法人が、即時償却の特例を使った場合です。

法人でも、中小企業では、30万円未満の即時償却の特例が使えます。

30万円未満の固定資産なので即時償却の特例を使うと、1年目に56万円の全額が減価償却ができます。
減価償却後の利益と所得税は、

  • 1年目、94万円、所得税額235,000円
  • 2年目、400万円、所得税額1,000,000円
  • 3年目、400万円、所得税額1,000,000円
  • 4年目、400万円、所得税額1,000,000円

即時償却を選ぶと、4年間の所得税は、3,235,000円です。

定額法で4カ年で償却

法人が、定額法で普通に減価償却した場合です。

定額法で4年間かけて毎年14万円の減価償却した場合です。
減価償却後の利益と所得税は、

  • 1年目、136万円、所得税額340,000円
  • 2年目、386万円、所得税額965,000円
  • 3年目、386万円、所得税額965,000円
  • 4年目、386万円、所得税額965,000円

普通の定額法を選ぶと、4年間の所得税は、3,235,000円です。

特例を使っても、定額法でも、どちらでも4年間の法人税は同じです。

法人の場合は、どちらで償却しても、法人税は同じ。

しかし、1年目だけを見れば、特例を使った方が、105,000円も法人税が安くなります。
納税額が同じなら、早く手元に多く資金が残った方が、有利に決まっています。

つまり、法人では、特例を使った方が、得だという結果になります。
それでも、確かに資金効率が上がりますが、納税額が結局は同じなので、得と言っても、そう大差はありません。

赤字の場合はどうなる?

法人が赤字であれば、減価償却費に関係なく、法人税は最低の均等割だけになります。
また、個人事業主でも赤字であれば、所得税はかかりません。

そのため、法人税でも個人でも、赤字が確定している年に、早期に減価償却費を増やしても、全く節税効果はありません。

翌年以降に、黒字になって利益が出た時のために、経費にできる減価償却は温存しておいた方が得です。
つまり、赤字会社や赤字個人にとっては、早期の減価償却は、損なんです。

法人税率は一定、所得税率は超過累進税率

個人の所得税は、7段階で税率が上がっていきます。

法人税の税率は基本的に一定です。
しかし、中小企業の場合は、一つだけ税率の大きな変化点があります。
法人の所得800万円を境に税率が変化し、所得800万円以下は実効税率25%程度、800万円を超えると35%程度です。

それに対し、個人事業主の所得税は、所得に応じて税率が7段階もあります。

  • 195万円以下、5%
  • 330万円以下、10%
  • 695万円以下、20%
  • 900万円以下、23%
  • 1,800万円以下、33%
  • 4,000万円以下、40%
  • 4,000万円超、45%


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定額法と定率法、償却方法の種類

減価償却の方法として実際に多く使われるのは、定額法と定率法の2種類です。

個人事業主の減価償却の方法は、定額法が基本です。
定額法は、毎年一定の金額を減価償却していく方法です。

定率法とは、毎年一定の割合で減価償却する方法です。
最初の年の償却額が多く、あとの年ほど償却額が次第に少なくなります。

個人事業主の場合、所得税の確定申告では、減価償却の方法は定額法と決められています。
しかし、税務署に届け出をすることによって、定額法の他にも、償却方法は3種類から選べます。

  1. 定額法
  2. 定率法
  3. 生産高比例法

このうち、生産高比例法とは、鉱業用の減価償却資産では、基本とされている償却方法ですが、普通は使いません。
また、資産の種類が建物の場合は、定額法を使うことが決められています。

定額法と定率法、どっちがいいのか?

個人事業主は、手続き不要の「定額法」でOK。

定額法に比べて、定率法の方が、早期に減価償却ができます。
そのため、固定資産を多く持つ大企業などの場合は、早期に減価償却をするために、定率法を選んでいます。

個人事業主の場合は、早期の減価償却が、得とは限らず、損することもあります。
それなら、わざわざ定率法を届け出して選ぶ必要はありません。

個人事業主は、手続き不要の「定額法」で、普通に減価償却しましょう。

まとめ、早めの減価償却は本当に得?、個人事業主は法人と違う。

個人事業主は、早期償却が有利とは限りません。
  • 法人と個人事業主、法人税と所得税の仕組みが違う。
  • 法人は、早期の減価償却が、基本的に有利。
  • 個人事業主は、早期の減価償却は、有利とは限らない。
  • 個人事業主は、早期の減価償却で、損することもある。
  • 個人事業主は、手続き不要の「定額法」

会計処理や帳簿は、アプリを使いながら覚えましょう。

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会計処理は、難しくて面倒に感じますが、自分で実際に帳簿を作ってみるのが、一番早く覚える方法です。
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